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東京都成人発達障害当事者会イイトコサガシ・明神下ゲーム研究会合同企画 TRPGコンベンション「Mission Impossible 04――発達障害と想像力の世界」に参加して


児童文学者の立場からRPGを中心としたアナログゲームへ関心を示し、雑誌『児童文学TRPG』を発行、会話型RPG『ラビットホール・ドロップスG』の序文を担当している佐々木江利子さまが、Analog Game Studiesメンバーもゲームマスターやスタッフとして協力したイベント「Mission Impossible 04――発達障害と想像力の世界」のレポートを寄稿してくださいました。(岡和田晃)

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東京都成人発達障害当事者会イイトコサガシ・明神下ゲーム研究会合同企画 TRPGコンベンション「Mission Impossible 04――発達障害と想像力の世界」に参加して

 佐々木江利子(協力:岡和田晃、伏見健二、冠地情、明神下ゲーム研究会)

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2013年12月8日(日曜日)、東京大学本郷キャンパスにて、午前10時から午後4時まで、発達障害の特性を持つ当事者、支援者、会話型RPG(テーブルトークRPG、TRPG)の専門家が一同に集い、共に楽しむコラボレーションイベント「Mission Impossible 04――発達障害と想像力の世界」が開催された。
東大の赤門をくぐると、まずは東大のシンボルにもなっている鮮やかな黄色に色づく銀杏並木に圧倒される。休日の午前中で地域住民か老若男女様々な人がそぞろ歩きを楽しんでいる中、赤門入口すぐに体格の良いスタッフが会の開催の表示を掲げてわかりやすく立っていてくれ、安心感。当会への参加は、私は二回目、実は前回、会場棟の入口や場所がわからず時間内にたどり着くことができなかったが、随所に誘導の表示があり、今回は探検感覚で会場にスムーズに到着。
赤門
【東京大学(本郷キャンパス)の赤門】

参加者はスタッフを含め約30名。20代から40代前後の年齢層。半数が女性で、会話型RPGは初めての参加者が約半数。これは通常のTRPGコンベンションでは異例だそうだ。
米田衆介先生の開会挨拶と、主催側のイイトコサガシ代表冠地情氏の説明を経て各テーブル部屋に移動。
米田先生
【米田衆介氏(明神下ゲーム研究会)の開会挨拶】
冠地さん
【冠地情氏(イイトコサガシ)の各種説明】

この日行われたシステムは『ゴーストハンター13』、『ラビットホール・ドロップスA(アンデルセン)』、『ダンジョンズ&ドラゴンズ エッセンシャルズ』、『ゆうやけこやけ』、『ラビットホール・ドロップスi』、『ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版』の六つ。ほぼどの卓にも当事者、支援者が複数名含まれる構成。
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【『ダンジョンズ&ドラゴンズ エッセンシャルズ』のプレイ風景】

今回、特筆すべきは齋藤路恵氏による『ラビットホール・ドロップスi』。これは、これまで発達障がいをもつ当事者によって開催されてきたイイトコサガシのワークショップを一冊にした『ラビットホール・ドロップスi』を、さらに、視覚不要バージョンとしたもの。ゲームマスターも参加者も同時にアイマスクを装着し、イラストやサイコロ、また、プレイヤーの表情等、視覚的な情報によらず、音声のみによって物語作りが共同で行われた。人の目を見て話すことの苦手な当事者にも好評で、物語の進行面でも混乱することがなかったという。
また、現在開発中の『ラビットホール・ドロップスA(アンデルセン)』では、人魚姫のキャラクターが人間の姿になった場合、声が出せないという設定が試された。この場合、声が出せないプレイヤーの表情や身振りに自然と目をやる運びとなった。これらは昔話のように口承文芸と親しい距離にもある会話型RPGの新しい側面を拓くと同時に、視覚障がいと発達障がい、聴覚障がいと発達障がい等、複合したハンディキャップをもつ人々にも会話型RPGやコミュニケーションの機会が開く可能性を示す前向きな試みになった。
昼食は各テーブルで。別なボードゲームを行うテーブルも。初対面の人と食事を共にするが、同じメニューのお弁当だったため、会話の糸口にもなったように思う。
筆者が参加したのは伏見健二氏の『ラビットホール・ドロップスA(アンデルセン)』のテーブル。自分が作成したシナリオのたたき台が、どうアレンジされ参加者によってどう変容するかを直接体験できる初めての機会となった。みにくいアヒルのこ役の男性参加者(当事者)が人魚姫シナリオの途中で眠ってしまうということがあったが、同じシナリオで中学生男子を含めたメンバーで行ったとき、全く同じ個所で同様の反応だったことを思い出した。恋愛というモチーフに関して感情移入、あるいは共感させる物語の運びは、年齢層や対象を含め今後の課題となった。ただし、「眠る」という反応は緊張の緩和があることで起きるものであり、安心感をグループ内で得られたのは、その後のプレイングに生きていたのではないか。見た目の容姿ではなく、真摯に生きるアヒルのこの役を、その方が他のシナリオの中で深くとつとつと語る姿が印象的だった。アンデルセン童話の中に内在する演劇や人の無意識に働きかけ、内面にゆさぶりをかけていく要素が、会話型RPGにどのように生きていくか、次作『ラビットホール・ドロップスA(アンデルセン)』の完成が楽しみな時となった。
 
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佐々木江利子(ささき・えりこ)

宮城県仙台市生まれ。宮城教育大学教育学部特殊教育教員養成課程出身。
白百合女子大学児童文化研究センター構成員。日本児童文学者協会会員。
著作『超カワイイ!こいぬのココロをチェック!!』(汐文社)
共編者『魔法のファンタジー』(ファンタジー研究会、てらいんく)、日能研「知の翼」他。
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※RPG『ラビットホール・ドロップスi』は、「Role&Roll Station」等、都内のゲーム専門店、およびAmazon.co.jpで好評発売中です。

この作品はAnalog Game Studies(AGS)の齋藤路恵氏がメイン・デザイナーをつとめ、成人発達障害当事者団体イイトコサガシと、ゲーム創作者集団エテルシア・ワークショップ(グランペール・ブランド)、およびAGSのコラボレート作業で完成に至った完全新作です。

★ご注意ください!

この冊子は成人発達障害当事者会「イイトコサガシ」のワークショップにおいて用いられる会話型RPG(テーブルトークRPG、TRPG)のルールと、そのガイダンスです。一般的なゲーム商品とはその性質が異なりますので、ご理解の上、お読みください。ラビホアイ”で、お話づくりを通してコミュニケーションを楽しく試そう!

やさしいRPG「ラビットホール・ドロップス」から生まれた、完全に未経験者向きのRPGワークショップ「ラビットホール・ドロップスi」のすべてを解説。7つのステップと「リドラー」システムで、みんなが即興のお話作りを体験する2時間半のプログラム。
ハプニングに笑い、みんなのいいところを見つけて、とても心が解放されるような、素敵なひとときを過ごしませんか?(裏表紙より)

ラビットホール・ドロップスi 001

また、2014年2月15日(土)に「発達障害ラビットホール・ドロップス・アイRPG IN 川崎市」が開催されます。リンク先の詳しい情報をお読みのうえで、ぜひ参加をご検討ください。
『ラビットホール・ドロップスi』のメイン・デザイナーで、Analog Game Studiesメンバーの齋藤路恵もファシリテーターとして参加します。申し込み方法はリンク先をご参照ください。