【活動報告】Analog Game Studies第17回~20回読書会報告&新体制のお知らせ、各種活動報告


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【活動報告】Analog Game Studies第17回~20回読書会報告&新体制のお知らせ、各種活動報告

 岡和田晃
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 2014年のAnalog Game Studiesの活動報告をさせていただきます。
 まず、2014年1月の第17回、2014年3月の第18回、2014年5月の第19回の3回で、ケイティ・サレン&エリック・ジマーマンの『ルールズ・オブ・プレイ』(下巻、ソフトバンククリエイティブ)を通読いたしました。これらの会合では、狭義のゲームの話題のほか、例えば戦略論、サッカー、本格ミステリにおける「後期クイーン的問題」など、多様な議論が行なわれました。

 2014年7月の第20回では、明神下ゲーム研究会との合同で、増川宏一『盤上遊戯の世界史』(平凡社)の読書会を行ないました。明神下ゲーム研究会のメンバーにはこれまで、Analog Game Studiesでデザイン中のゲーム作品のテストプレイ協力等もいただいております。

 20回の読書会を達成したことを一つの区切りとしまして、2014年10月からは、AGSメンバーの環境変化もふまえて若干活動スタイルを変更し、新体制で、学術および文芸ジャーナリズムとの連携をいっそう強化していくことになりました。
 まず、AGSメンバー有志が「ボードゲーム読書会@高田馬場」と合同することで、より学術的な側面のアウトプットを目指していきます。これまで、Avedon and Sutton-Smith “The Study Of Games”、Cornell and Allen “War and Games”といった英語文献を読み進めるとともに、伝統ゲームの研究発表なども共有して参りました。
 この「ボードゲーム読書会」は遊戯史学会の分科会として承認され、3月には【ゲームデザイン討論会―公開ディスカッション2015.03.14】を開催する予定です。

 加えて2014年10月からは、AGSメンバー有志に、随時ゲスト参加者を交えつつ、ゲームと文芸の交点を模索するためスチームパンクRPG『キャッスル・ファルケンシュタイン』のキャンペーン・プレイと内村博信『ベンヤミン 危機の思考』(未來社)の読書会を交互に行なうという試験的な試みを開始して参りました。こちらは「TH(トーキングヘッズ叢書)」(アトリエサード/書苑新社)No.61「レトロ未来派」(スチームパンク特集)への執筆参加ということで、一つの成果を生むことができました(後述)。

 今後ともAnalog Game Studiesは、より良いアウトプットを行なうために、研鑽を続けて参ります。

 このおよそ1年の間に、Analog Game Studiesのメンバーが行なった活動の一部をご紹介していきます(AGS内記事執筆・査読等を除く)。

 顧問の草場純氏は、AGSのこちらのエントリでも紹介されているような各種ゲーム会を主催するとともに、船橋の「買い将棋」のルールを取材したり、ゲームマーケット大賞の審査委員長をつとめるなどし、その存在感を発揮しました。盤双六の新資料を発見し、その研究も行なっております。さらに、Twitter上で行なわれているゲームデザイン討論会は遊戲史学会の試みとなり、現在まで8回を数えています。
 出版関係では、赤桐裕二『トランプゲーム大全』(スモール出版、2014年11月発刊)や、2015年10月発刊予定の、『クク』についての書籍などに協力しています。

 代表の岡和田晃は、「Role&Roll」に連載されている『エクリプス・フェイズ』関係の記事、および「SF Prologue Wave」の『エクリプス・フェイズ』企画に毎号協力しています。「Role&Roll」では「戦鎚傭兵団の中世“非”幻想事典」の執筆も引き続き行っています。
 共著『向井豊昭傑作集 飛ぶくしゃみ』(未來社、2014年1月)は日本図書館協会の選定図書となり、『北の想像力 〈北海道文学〉と〈北海道SF〉をめぐる思索の旅』(寿郎社、2014年5月)は第35回日本SF大賞の最終候補作となりました(選考会は2月中旬頃に行われます)。また単著『向井豊昭の闘争 異種混交性(ハイブリディティ)の世界文学』(未來社、2014年7月)のほか、共訳書・共著を合計3冊刊行いたしました。
 AGSをご覧の皆さまへ特にお読みいただきたいのは、川上亮『人狼ゲーム BEAST SIDE』(竹書房文庫、2014年4月)、仁木稔『ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち』(早川書房、2014年4月)、浦賀和宏『頭蓋骨の中の楽園』(講談社文庫、2014年9月)に寄せた解説文です。『人狼ゲーム BEAST SIDE』では「人狼」の起源と現在を考え、『ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち』では、ゲーミフィケーションを論じ、また『頭蓋骨の中の楽園』ではゲームAIを批評的に考えてみました。

 また、『狂気山脈の彼方へ』(創土社、2014年12月)に収められたHUGO HALL氏のゲームブック「レーリッヒ断章の考察」のお手伝いをしており、こちらもチェックをいただけましたら幸いです。

 講演やゲーム関係のイベントも活発に開催し、『エクリプス・フェイズ』体験会のほか、ジュンク堂書店や東京堂書店で講演やトークイベントを行ない、また2014年10月の日本近代文学会秋季大会でのパネル発表「世界内戦と現代文学――批評と創作の交錯」に出演、文学についての学会発表で領域横断的にゲームについての言及も行ないました。

 蔵原大は遊戯史学会の理事に就任し、各種活動を精力的に行なっております。また、「SF Prologue Wave」にオリジナル小説「『真夏の夜の夢』作戦」を発表。齋藤路恵との共著で『エクリプス・フェイズ』小説「マーズ・サイクラーの情報屋」も発表し、評判を集めました。

 田島淳は、昨年に引き続いてジャパンゲームコンベンション(JGC)2014の『ハーンマスター』体験会でゲームマスターをつとめ、また2014年10月にはイイトコサガシのファシリテーター研修の講師として、先鋭的なルールシステムの未訳RPG『Becoming』をプレイし、好評を得ました。
 加えて、田島は「TH(トーキング・ヘッズ叢書)」でライターとして文芸とRPGをつなぐレビュー活動を開始し、No.59では『北の想像力』、No.60では岡田剛『十三番目の王子』、No.61では門倉直人『失われた体』のレビューをそれぞれ寄稿しています。

 仲知喜は「TH」No.61の「エッジの利いたスチームパンク・ガイド」に参加し、RPG『ヴィクトリアンエイジ・ヴァンパイア』、アラン・ムーアほか『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』、チャイナ・ミエヴィル『ペルディード・ストリート・ステーション』のレビューを寄稿しています。『ペルディード・ストリート・ステーション』のレビューはAnalog Game Studiesの「【レビュー】RPGゲーマーのための『ペルディート・ストリート・ステーション』ガイド」とセットでお読みください。

 「TH」No.61の「エッジの利いたスチームパンク・ガイド」は岡和田の編になるもので、岡和田は「世界劇場と吸血鬼ジュヌヴィエーヴ」(「TH」No.58、AGS記事の改稿)、「サイバーパンクとクトゥルフパンク」(「TH」No.59)、「サイバーパンクとゴシックパンク」(「TH」No.60)の文脈をふまえた批評文「スチームパンクと崩壊感覚、歴史への批評意識としての「パンク」」を寄稿。また、キース・ロバーツ『パヴァーヌ』、ギブスン&スターリング『ディファレンス・エンジン』、マイケル・ムアコック『グローリアーナ』、佐藤亜紀『1809』、フォルカー・デース『ジュール・ヴェルヌ伝』のレビューを執筆しました。

 なお、田島淳は「エッジの利いたスチームパンク・ガイド」のうち、『キャッスル・ファルケンシュタイン』、RPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ エベロン』、それに沙村広明「エメラルド」のレビューを「エッジの利いたスチームパンク・ガイド」にも寄稿しています。「スチームパンク」を軸に、AGSがこだわってきたゲームと文芸の交点を探る試みで、成果を残すことができました。