【教育×ゲーム】教育向けRPG『ラビットホール・ドロップス』体験会参加報告


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【教育×ゲーム】教育向けRPG『ラビットホール・ドロップス』体験会参加報告

 小春香子 (協力:野崎卓馬、伏見健二、岡和田晃)

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 2012年8月4日に所沢市男女共同参画推進センターにて行われた、会話型RPG(TRPG)『ラビットホール・ドロップス』の体験会に参加してまいりました。ゲームは印象が悪く捉えられがちですが、教育の世界でラビットホール・ドロップスを一例にRPGなどのゲームを活用する道を探る、という目的で開催された体験会です。主催者の方は野崎卓馬さんという、学習塾でマーケティングをしていらっしゃる方で、マーケティング分野でゲーミフィケーションやシリアスゲームが着目されている今が良い機会だとこの体験会を開いたそうです。
ラビットホール・ドロップス / グランペール
ラビットホール・ドロップス / グランペール
 参加者は8名、いずれもRPGの経験者ばかりがあつまりましたが、普段RPGを中心に遊んでいてあまり教育の分野にはかかわりがなかったゲーマーの方から、普段塾や学校の教員として働いている方、イイトコサガシさんからのつながりで福祉分野のNPOを運営されている方、日頃からラビットホール・ドロップスを楽しまれているRPGファンの方などさまざまな方が参加していらっしゃいました。

 会場に入ると、まずルールブックと筆記用具、飲み物とダイスが各自の席に用意してありました。主催者の方の細やかな配慮を強く感じます。会がはじまると、最初に主催者の方からゲーミフィケーションやシリアスゲーム、RPGのプレゼンが軽くあり、ゲームデザイナーの伏見健二さんからラビットホール・ドロップスの紹介がありました。
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 その後、二卓に分かれて実際にラビットホール・ドロップスの冒険に出てみました。GMによるルールやキャラクターの説明が分かりやすく、どちらの卓も比較的スムーズに冒険が進んだようです。終了後に冒険をつき合わせてみると、どちらの卓でも少し扱いが難しい「カエル」役の人気が高かったことが分かりました。片方の卓ではクレバーなカエル君が重要なNPCに引っかけをしかけたりなどの大健闘、もう片方の卓ではパーティのマスコットとして大笑いを引き出していたカエル君だったことなどが明かされ、「参加者によって同じ役でも展開が違う」というRPGの特性が印象付けるものとなりました。
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 こうした報告の後は、「このラビットホール・ドロップスをいかに教育で活用するか」のディスカッションがありました。愛知県の市立小学校でRPGを特別活動(クラブ活動)として取り入れている例や、さまざまな立場の方からの意見交換は大変有意義だったと思います。私の卓では、教育効果を狙って子供たち全員を対象とする学校教育(総合的な学習や「授業」としての実践)よりは、多年齢の希望者が集まるフリースクールや塾、などの社会教育、または現在実践されているように学校教育でも特別活動として取り入れていく方が効果的ではないかといった議論が交わされていたのが印象的です。

 野崎さんは終了後、この体験会について、「今回はRPG未経験の教育関係者にあまり告知できていなかったようで残念でした。ただ、RPGを普段遊んでいる人たちに、こういう活動ができるということを知ってほしかったので、そういった点では活発な議論や冒険となり満足しています。普通にゲームをするだけではない土台ができていき、ゆくゆくはゲームの持っている力についてもっと皆に知ってほしいと思っています」とおっしゃっており、またラビットホール・ドロップスをデザインした伏見さんからは、「教育関係者のお話を聞くことができ、問題意識を共有できて有意義な会でした。人を助けたり、感謝されたり、時に対立したり……ゲームのなかでたくさんの経験を提供できればいいと考えています。また、頼もしく仲間を守る役割だったり、おどけてリラックスさせる役割だったりと、集団のなかでの役割を交代することで子供たちが学べることは多いことと思います。それが教育の場を円滑にする効果はとても大きい、というお話になりました」というコメントをいただきました。

 全体として、非常に熱く盛況な体験会であったと思います。(小春香子)

※写真は主催者様から提供いただいた写真を使用させていただいております。

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●会話型RPG『ラビットホール・ドロップス』のサプリメント(追加資料集)『ラビットホール・ドロップス シナリオブック』が発売されました。
 ラビットホール・ドロップス シナリオブック / グランペールラビットホール・ドロップス シナリオブック / グランペール

 「ラビットホール・ドロップス」は、地図や物語を示した絵、「シナリオアート」をみんなで見ながら、童話の登場人物のような役割で冒険を体験する、新たなスタイルの「ロールプレイングゲーム」です。

ルールはとてもシンプルで、1セッションは1時間ほどで終えることができます。
親子で遊ぶ、初心者と遊ぶ、障害当事者との交流で遊ぶ、教育効果を高めるために遊ぶ、童話研究として遊ぶ、創作や表現の模索で遊ぶ……などなど。
新たな方向を模索し、ロールプレイングゲームの効果を探る、さまざまな試みに用いられています。
この冊子はそんなラビットホール・ドロップスのサポートブックです。
小学生GMによる、実際の親子ゲームの様子を収録したリプレイ。剣士、怪盗、予言者、猫と、それぞれ新たな能力をもった4種類のドロップス(職業/役割)、そして最初のシナリオからつながる2つのキャンペーンシナリオ。6編の独立した小シナリオ。
どれも、すぐにあなたのセッションに役に立つ、とびきりのサプリメントとなるでしょう。
物語を作る喜び、語り合う嬉しさ、笑いあう楽しさ。
どうぞ、ラビットホール・ドロップスで、価値ある体験を広げていってください。(裏表紙より)


 収録シナリオは「カラスと動く樹」、「ゆうれい城の王さま」、「笑わない姫」、「悲劇のあとに」、「盗まれた鎧」、「カエルのために笛を鳴らせ」、「ナイト・バイオレット」、「ジャッカル城の要塞」の8本。相沢美良氏の美麗なイラストがふんだんに盛り込まれ、4コマ漫画もあり。
 AGS代表岡和田のお薦めは「笑わない姫」。コミックのコマ割りの技法がシナリオアートに活かされており、まったく新しいシーンの切り取り方の妙味が体感できます。
 「Role & Roll Staiton」などの専門店でも入手可能です。
 Analog Game Studeisはルールブックに引き続き、「協力」としてクレジットをいただいております。

 なお、ゲームデザイナーの中森しろ氏、俳優の祝原あすか氏ら、『ラビットホール・ドロップス』のファンによる紹介動画『らびほTV』がニコニコ生放送で放映されるようです。詳細は『らびほTV』コミュニティをご覧ください。このような新しい試みを許容するところに、『ラビットホール・ドロップス』の懐の深さがあるように思います。


「Analog Game Studies(アナログ・ゲーム・スタディーズ)&イイトコサガシ交流ワークショップ第二回「現代によみがえるわらべ遊びの数々」を、2012年8月22日(木)10時より…豊島区心身障害者福祉センター、豊島区心身障害者福祉センター、豊島区心身障害者福祉センターで開催致します! 
 発達障害当事者(アスペルガー、ADHD、高機能広汎性等自閉症スペクトラム)にとって、コミュニケーションを試せる心地のよい「機会」となることを夢見て立ち上げましたイベントです。※ご家族や支援者、一般の方の参加は大歓迎。
 第1回のレポートはこちらをどうぞ。
 申込の詳細はイイトコサガシのウェブサイトをご参照ください(Analog Game Studiesでは申込を承っておりません、ご注意ください)。

イイトコサガシさまが、2012年9月2日(日)に「『大人の発達障害』を、香山リカさんとイイトコサガシが語る会 医師の目×当事者の目」が開催されるそうです。
2012年9月2日(日)大人の発達障害を香山リカさんとイイトコサガシが語る会(表).jpg

 当事者が困ることって何だろう? 私たちに出来ることって何だろう?
医師はどう治療するの? 当事者の目から見た世界ってどう見えるの?
発達障害をめぐる様々な疑問に、精神科医の香山リカ先生と、発達障害当事者会イイトコサガシが、真面目に、でも和やかに向き合う会です。(イイトコサガシプレスリリースより)


 ゲストに精神科医にして「SFマガジン」でも連載をもっている香山リカ氏を迎え、イイトコサガシの「本気」が伝わるこのイベント。ゲームと直接の関係はありませんが、よりよいコミュニケーションのあり方に関心のある方は、ご参加を検討されてはいかがでしょう。イイトコサガシの告知用サイトから、申込が可能です(Analog Game Studiesでは申込を承っておりません、ご注意ください)。(岡和田晃)
(※12/08/14 一部情報追加)