第12回文学フリマ&ゲームマーケット2011で『エクリプス・フェイズ』のファンジンを受け取っていただき、どうもありがとうございました!(付記:門倉直人さまのコメント)


第12回文学フリマ&ゲームマーケット2011で『エクリプス・フェイズ』のファンジンを受け取っていただき、どうもありがとうございました!(付記:門倉直人さまのコメント)

 岡和田晃 (協力:門倉直人、仲知喜)

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※当ブログAnalog Game Studies(AGS)は『エクリプス・フェイズ』公式サイト(Homepage | Eclipse Phase)で承認されているファンサイト(Fan Websites)の一つです( http://eclipsephase.com/resources )。※


 少し時間が経過してしまいましたが、Analog Game Studiesをご覧の皆さま、第12回文学フリマ、そしてゲームマーケット2011にお越し下さり、本当にありがとうございました。

 Analog Game Studiesが二つのイベントで頒布したファンジンについての解説は、下記をご覧ください:
http://analoggamestudies.seesaa.net/article/209175577.html
http://analoggamestudies.seesaa.net/article/209002383.html

 この場を借りて、改めてお礼を申し上げつつ、当日の模様を簡単にご報告させていただきます。

 今回、私は文学フリマで最初から最後まで(途中交代は幾度か挟みましたが)、「幻視社」の店番をしておりました。「幻視社」のエンドケイプさま、渡邊利道さま、佐伯ツカサさまも応援に駆けつけて下さり、賑やかなブースとなったと思います。

 Creative Commonsを活用する形で、表紙フルカラー・本文モノクロ・A4版・本文24頁の書籍を、文学フリマでは100部用意し、無償で頒布させていただいた所存です。

 表紙画像と、内容を一部紹介させていただきます。
 
表紙レイアウト (1)_01.jpg


『衛星タイタンのある朝』
EclipsePhase_Introduction_Book_01.jpg


『DOG TALE』
EclipsePhase_Introduction_Book_02.jpg

 途中、Analog Game Studiesの高橋志行氏が応援に駆けつけ、iPadを用いて、「Eclipse Phase Introduction Book 2011 For Japanese」のフルカラーPDF版を紹介するなどという変化球もありましたが、終了1時間前には頒布終了いたしました。

 アートワークと表紙のデザインがとても美しいものになりましたので、普段ゲームに馴染みのない方や女性のお客さまに、数多くお手にとっていただけたのが望外の喜びです。印刷を頼んだポプルスさまが、サービスでポスターを作ってくださったのも大きかったでしょうか。ポスターの張り出しを許可してくださいました東條慎生さまに感謝いたします。

《「幻視社」ブースの様子》(顔出しOKをいただいているのは放送作家のエンドケイプさまです)
IMG_0586bokashi.JPG

 最初にブースへご来場いただいたのは、『CODE2.0』で知られるローレス・レッシグ教授と交流があるCreative Commonsの研究家の方。
 Creative Commonsを用いた『エクリプス・フェイズ』のコンセプトに注目されていました。

 ほか、『GURPS』を愛好する漫画専門店の店員の方、『ウォーハンマーRPG』オンリーコンによく来ていたを愛好するRPG者/SFファンの方、ロード・ダンセイニ研究家の未谷おとさまゲームSF短篇連作シリーズの第三作「清められた卓」が好評の小説家の宮内悠介さま、第49回日本SF大会TOKON10実行委員長の立花眞奈美さま、「筑波批評」のシノハラユウキさま、ゲーム評論誌「GAME DEEP」主催の中田吉法さま、レオ・ペルッツ『最後の審判の巨匠』の翻訳等で知られる翻訳家の垂野創一郎さま、漫画家の三五千波さま、フランス文学者の石橋正孝さま、さらには名前は上げませんが複数の出版社の編集者の方々など、多くの方々に「Eclipse Phase Introduction Book For 2011 Japanese」を受け取っていただくことができました。

 お客様とお話させていただいた感覚では、文学的運動体としての「サイバーパンク」への期待というものは、『ニューロマンサー』日本語版から25年が経過した現在にあっても依然として根強いという印象を第一に受けました。

 また、Analog Game Studiesの高橋氏に会いに来たサイバーパンク青年、『ウォーハンマーRPG』リプレイでプレイヤー参加してくださった坂本峻平さま、また、『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』のトークライブに来られた方などがわざわざ立ち寄ってくださるなど、Analog Game Studiesメンバーの活動によって『エクリプス・フェイズ』に興味をいただいてくださった方がいらっしゃることが実感できたのも感慨深いことでした。



 なお、当日配布された「Eclipse Phase Introduction Book For 2011 Japanese」には誤植が存在しました。同書に挟み込んだペーパーに正誤表を掲載いたしましたが、こちらにも掲載しておきます。

誤)表紙アートワーク:Zachary Graves

正)表紙アートワーク:Leanne Buckley



 ご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。書籍版を入手された方にサービスで配布しております、フルカラーPDF版ではすでに修正されております。
 


 私、岡和田晃は「幻視社」最新五号の販売協力もいたしました。

 こちらは表紙フルカラー・本文モノクロ・100頁・500円という体裁となっています。

 「死者/使者」をテーマにした創作群、アルバニアの国際ブッカー賞受賞作家イスマイル・カダレ、そして松籟社から刊行されている〈東欧の想像力〉叢書のガイド、さらには異端のアナーキスト作家・向井豊昭の特集を軸に、実売数にして45部程度を売り上げることができました。

幻視社5表紙.jpg

 「東欧の想像力」は、セルビア・チェコ・アルバニア・ハンガリーなど、旧共産圏の現代文学の最先端を紹介する野心的な叢書で価格帯も抑えめな叢書です。
 世界文学の最先端を知るためのブックガイドとして活用していただければ幸いです。私のおすすめは、渡邊利道さまのイスマイル・カダレ『死者の軍隊の将軍』についてのエッセイ「類似と自由」。映画『こうのとり、たちすさんで』との比較も鮮やかなエッセイです。

 なお、先んじて「幻視社」五号内で紹介しておりました、イェールジ・コジンスキーの『異端の鳥』の新訳『ペインテッド・バード』の告知が松籟社様の方で出ております

 当日は、これを買うために大阪からわざわざお越し下った方、国書刊行会の「文学の冒険」シリーズについての本を作るからライバル調査に来たという方、SFレビュアーの橋本輝幸さま、さらには「全集を待望」と熱弁をふるった熱狂的な向井豊昭ファンの方など、豊かな出逢いがありました。

 また、「Eclipse Phase Introduction book For 2011 Japanese」を頒布された方の多くは、「幻視社」にも興味を示しお買い上げくださいました。併せてお礼を申し上げます。

 「幻視社」の三号と四号はすでに在庫がありませんが、今回の文学フリマでの新刊「幻視社」五号、そしてバックナンバーである「幻視社」二号は在庫があります。

 通信販売が行なわれておりますので、ご希望の方は、以下にまでメールをいただければ支払い方法などを案内いただけるということですので、ご興味をお持ちの方は、ご連絡をいただければ幸いです。

「幻視社」五号、二号の通信販売希望者連絡先:

inthewall★king-postman.com (★→@)





 続きましてゲームマーケット2011のレポートになります。

 Analog Game Studiesからは齋藤路恵氏と髭熊五郎氏が、50部をゲームマーケットに搬入し、正午過ぎから頒布が開始されました。

 ゲームマーケット201では、「カナイ製作所」さまのブース……。

「カナイ製作所」さまのブース
カナイ製作所2.jpeg

 そして(当日急遽決定したので、Analog Game Studiesの告知ができず、申し訳ありませんでしたが)「グランペール」さまのブースにおいて委託をさせていただき、第12回文学フリマと同じく、それぞれ無償で頒布をさせていただきました。

「グランペール」さまのブース
グランペール.jpeg
 
 それぞれ、あっという間に品切れとなってしまった模様です。

 出展者用の最後の一冊を回覧されるのみに終わった方が多数いらっしゃったようですが、この場を借りてお詫び申し上げます。

 ご来場いただきました皆さま、また、慌ただしいなか、とても丁寧なご対応を下さりましたカナイ製作所のカナイセイジさま、グランペールの伏見健二さまにこの場を借りてお礼申し上げます。

 お二人からは『エクリプス・フェイズ』紹介への期待の声が多かったとも教えていただき、改めて気を引き締める思いです。



 また、サンセットゲームズの古角博昭社長が、ウェブログで「Eclipse Phase Introduction Book For 2011 Japanese」の紹介をしてくださいました。ありがとうございます。

 ゲームデザイナーの朱鷺田祐介さまも、同書の入手報告、ならびに『エクリプス・フェイズ』のプレイレポートも掲載してくださっております。『エクリプス・フェイズ』のゲーム的な側面にご興味をお持ちの方は、ぜひご覧ください。



 文学フリマ終了後、Analog Game Studiesに協力・応援をいただいた方々に、一足早く「Eclipse Phase Introduction Book For 2011 Japanese」のフルカラーPDFファイルを、(むろんCreative Commonsに則って)無償送付させていただきましたが、お送りした方々から、暖かい感想をいただきました。

 そのうちゲームデザイナーの門倉直人さまから、興味深いコメントをいただきました。門倉直人さまの許可をいただいたうえで、こちらに紹介させていただきます。門倉さまの感想を読み、私は、意味の性質が物理量の違いとして記述されないという指摘からイメージが広がり、ニューウェーヴSFの粋を尽くした短篇「宇宙の熱死」(パミラ・ゾリーン)を連想しましたが、皆さまはいかがでしょうか。

 また、心理学的な多重人格とEP的な考え方から、定家へと至る独創的な思考実験は、短いながらも実にスリリングであると考えます。

 新しい言葉にめっぽう弱い自分は、ポストヒューマンという言葉を初めて聞き、その発信元たるトランスヒューマニズムと合わせ今回、勉強する機会を得た。最近、ランダウアーの原理から情報量と物理量、そして「意味」の問題から情報熱力学に興味をもってきた自分にとっては、なかなか愉しい経験を与えていただいたと思う。

現在のところ自分は、各個体、また各ヒトの精神なるものは、環境(おおげさに聞こえるかもしれないが「宇宙」と言ってよい)との量子的なつながりにより(結果的に)座標を結ばれていると推測している。よって精神転送(精神アップロード)により自意識の連続性を確保したまま自分のコピーができ、不老不死も可能という考えには否定的だ。人工精神体は、理論的に可能かもしれないが、生身の人間が自我をそれに完全に移すことは不可能と感じている。おそらく自我は、in situ(イン・サイチュ)であろう。夢野久作がなんと言うか興味深いところだが、まさにドグラ・マグラ的な因果があるので、生身から生まれた人間が途中からインフォモーフになるのは真空相転移させて宇宙をもう一ヶ創るぐらいタイヘンかもしれない。

現在の情報論は、時の流れの中での意味論としては、ほとんど役に立っていない。それは、情報論を支えるパラダイムが、物理世界を記述する論理体系の写像でありそれ以上でも以下でもないからだ。簡単に言えば「意味の性質」が物理量の違いとして記述されないなら、どうにもならない。それゆえランダウアーの原理に照らせば「情報が少なくなれば(結果として)宇宙が冷えている」のであるが。

(この話をしだすとキリが無いのでやめる)

しかし純粋かつ敬意をこめ「遊び」としてのエクリプス・フェイズは、人の思考実験の場として、とても面白そうだ。心理学方面へ進路を変更した際、最初に学ばされたのは、16の人格を創って環境に対応せざるを得なくなった多重人格症例だった。「アイデンティティとは何か」から見えてくる人の心の不思議……。人間は成長とともに精神を急速に分化させていくが、そうして分化させた精神どうしのリンクが様々な原因で切れたり弱くなったりする。それは成長の1プロセスでもあるが、時に様々な障害をもたらすこともある。情報産業の発達と進化は、今や人の精神コピーを、たとえれば静止画から動画へとナマナマしく映すようになっていくだろう。経済活動もこうしたバーチャルエージェントが多く担うようになれば、仮想現実で自律的に活動する自分の分身へ、より大きな存在価値を見いだし依存する人も増えるだろう。そんな時代に要求されるのは「爆発的に増殖する自分の分化した精神と、どう向き合い、つき合うか」なのやもしれぬ。自我をin silico(イン・シリコ)へ完全移行することには(先述した理由で)かなり懐疑的なのだが「自分が薄くなっていく新しい感覚」には直面するだろう。これは必ずしも悪いことではないが、人によっては、かなりの危険をともなうかもしれない。

面白いことに、近ごろ出した自分の拙著(編注:『シンデレラは、なぜカボチャの馬車に乗ったのか? ~言葉(ことのは)の魔法~』、新紀元社)で、藤原定家と幽玄技巧について書いた際の魔法イメージが、この『エクリプス・フェイズ イントロダクション・ブック』のPDFを読んでいるときに浮かんでならなかった。それは「ボクは、ほんの少しだけキミで、キミもほんの少しだけボクなんだ」というもので「しかし、二人の間にはボクでもキミでない、カスミのような何かが潜在している」というものだ。『エクリプス・フェイズ』は、そんな状態を想像しながら思考実験する、よい機会になるかもしれないと感じた。(門倉直人)

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
「Eclipse Phase Introduction Book 2011 For Japanese」へのコメント by 門倉直人(Naoto Kadokura) is licensed under aCreative Commons 表示 – 改変禁止 3.0 Unported License.


 各所で好評をいただきました「Eclipse Phase Introduction Book 2011 For Japanese」ですが、印刷版の再版・フルカラーPDF版の無償配布をそれぞれ検討中です。Analog Game Studies読者の方へのフルカラーPDF版の無償配布の方が早く実現しそうですので、もう少しお待ちください。場所や方法が決定次第、Analog Game Studies上で告知いたします。

 ご希望やご意見などがございましたら、analoggamestudies1★gmail.com(★→@)にまでご連絡をいただけましたら幸いです。

追記;
 再掲が実現いたしました!
 日本SF作家クラブの公認ネットマガジン「SF Prologue Wave」http://prologuewave.com/)において、創作者集団NEO、および『エクリプス・フェイズ』翻訳チームのご協力をいただき、会話型RPG『エクリプス・フェイズ』のシェアード・ワールド企画にAnalog Game Studiesのメンバーが参加する、という形になっています。
 岡和田晃によるコンセプト解説「シェアード・ワールドとしての『エクリプス・フェイズ』はこちら(http://prologuewave.com/ep_explanetion)。
 2012年6月5日~7月20日の4回に分けて、2011年6月に限定発行されたファンジン『Eclipse Phase Introduction Book for 2011 Japanese』(Analog Game Studies & 戦鎚傭兵団発行)をフルカラーPDFにて再録いただいております。
 内訳は……。

「特異点への突入」(待兼音二郎)
「衛星タイタンのある朝」(蔵原大&齋藤路恵)
「DOG TALE 犬の話」(仲知喜&蔵原大)
「Feel like makin’ love――about infomorph sex」(齋藤路恵)
「戦う『ショートショート』又はボーイ・ミーツ・ガール」(蔵原大)


 以上5作品です。
 是非ご覧ください!