市立小樽文学館企画展「テレビゲームと文学展」レポート

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市立小樽文学館企画展「テレビゲームと文学展」レポート

  岡和田晃 (協力:玉川薫(市立小樽文学館)、八重樫尚史、高橋志行)

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 2012年8月11日から9月23日まで、北海道の小樽市にある市立小樽文学館において、「テレビゲームと文学展」という企画展が開催されました。
 日本各地には様々な文学館が存在していますが、なかでも「テレビゲーム」と「文学」の関わりをテーマとして大々的に打ち出すというのは、きわめて珍しい試みです。

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【「テレビゲームと文学展」フライヤー】

 文学館というと古臭くて堅苦しいというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。けれども、そうしたイメージを払拭すべく、文学館の側も革新的な試みを打ち出すようになってきています。
 同じく北海道にある札幌の北海道立文学館では2014年2月8日か~3月23日まで、日本におけるスペキュレイティヴ・フィクション(思弁小説としてのSF)の第一人者であり、北海道におけるSFファンダムの始祖的な存在である作家・荒巻義雄をテーマに据えた「「荒巻義雄の世界」展」が開催されました。同展では、スペースオペラや伝奇ロマン、あるいは脳科学や精神医学、コンピュータ・サイエンスへの関心を全面に押し出され、著名なSF作家やSF評論家を交えたシンポジウムなども執り行われました。

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【「「荒巻義雄の世界」展」フライヤー】

 小樽市は小林多喜二や伊藤整を輩出した古き良き文学の街でもありますが、加えて、荒巻義雄や川又千秋といった、スペキュレイティヴ・フィクションの代表的な作家と縁が深い街でもあります。
 その市立小樽文学館での「テレビゲームと文学展」は、会期中に1335人の来場者を集め、盛況だった模様です。2014年4月4日~6月8日の期間には、「ゲームと文学」シリーズ第二弾としまして、「ボードゲームと文学展」も開催される予定となっています。そこで第一弾にあたる「テレビゲームと文学展」の模様を、簡単にご紹介してみたいと思います。

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【会場写真】

 展示は、大きく第一部「テレビゲーム史」、第二部「ゲームを生んだ文学、文学を生んだゲーム」、第三部「テレビゲームと文学の身体性・双方向性」に分けられます。
 第一部の冒頭に掲げられたコンセプトは、下記のようなものです。このコンセプトに加えて、黎明期から家庭のエンターテインメントとして定着するまでの「テレビゲーム史」が、1952年のコンピュータと対戦する三目並べ『OXO』の登場にまで遡る形で解説されます。

 テレビゲームは、1950年代に生まれ、80年代の家庭用ゲーム機の爆発的普及で、日本、さらに国際的にも世代を超えた遊びになりました。
 テレビゲームは、それよりはるかに長い歴史をもつ「書物による文学」と密接な関係があります。
 またテレビゲームの双方向性(遊び手によって物語自体が変化していく)と体感性は、従来の読書における作者と読者の関係にも変化をもたらしています。
 そしてテレビゲームで定着した複数の遊び手の同時参加により物語が変化するおもしろさは、ネット小説を生み出す原動力になり、文学の未来をも予感させます。
 この企画展は、テレビゲームと、その下地となったパーソナルコンピュータ技術、そして伝統的な文学の歴史を紹介し、相互の影響を考察しながら、テレビゲームを「文学的視点」で見直すものです。
 本展にあたり、多大なご協力をいただいた方々に、心より御礼申し上げます。

 第二部では、まず「世界の神話・民話・伝承・古典」と題して、『ギルガメッシュ叙事詩』、『ラーマーヤナ』、『聖書』、『古事記』、『イーリアス』、『アーサー王伝説』、北欧神話や御伽草紙が、「そのほとんどが作者不明で口承(こうしょう)で伝えられました。あらゆる物語の母胎(ぼたい)であり、ファンタジー文学の原郷(げんきょう)であり、おおくのテレビゲームの主人公が活躍(かつやく)する世界でもあります。」と紹介されました(年若い参加者でも理解できるように、適宜ルビがふられています)。
 続いて、「文学とテレビゲームをつなぐカギ、それが「テーブルトークRPG」」と題して、アナログゲームそれも会話型RPG(テーブルトークRPG、TRPG)の役割が、次のように強調されました。

 「テレビゲームと文学展」で、もっともたいせつなカギになるこの「TRPG(テーブルトークアールピージー)」について、うんとかんたんに説明しましょう。
 テレビゲームがすきな人はもちろん、やったことのない人、きょうみのない人でも「ドラクエ」は知っているでしょう。
 そのゲームは「勇者(ゆうしゃ)」が主人公であり、それはゲームをするあなたです。「勇者」はひと
りで旅をはじめますが、とちゅうで出あった戦士(せんし) 、魔法(まほう)つかい、商人(しょうにん)、あそび人(にん)が仲間になります。たたかった敵がともだちになり仲間(なかま)にくわわることさえあります。
 旅にはいろいろな困難(こんなん)がまちうけています。大嵐(おおあらし)や火山(かざん)、まよいこんだら出るのがむずかしい洞窟(どうくつ)。そしておそいかかってくる敵。
 とくいな力、欠点もある仲間とたすけあいながら困難をのりこえ、そのたびに「勇者」も仲間たちも成長していき、智恵(ちえ)も力もおおきくなっていきます。
 またその力にふさわしい「聖(せい)なる剣(けん)」なども手にすることができるようになります。
 そして最後にまちかまえている最大最強(さいきょう)のとりでと敵。それをのりこえ、たおさなけれ
ば「勇者」は「ほんとうの勇者」になることはできません。
 このようなゲームは、何かににていると思いませんか? 映画「ロード・オブ・ザ・リング」、その原作「指輪物語(ゆびわものがたり)」。そして「ナルニア国ものがたり」「ゲド戦記(せんき)」。「ネバー・エンディング・ストーリー(はてしない物語)」「モモ」。映画の「スターウォーズ」さえ、そのながい物語はまるで「ドラクエ」のようです。
 これらの物語は、世界じゅうに古(ふる)くからつたわる神話や伝説におおくのヒントをえています。だから国や年にかんけいなく、たくさんの人たちの心をとらえ、感動させます。
 これらの物語をどだいにして、それをみんなであそぶゲームにしたのが「テーブルトークRPG」です。ゲームに参加する人たちが、それぞれ「戦士」になり、「魔法つかい」や「妖精」になり「商人」や「あそび人」になったりする。みんなはこの国におおきな災難があることをしって、それを解決するために、つれだって旅にでます。そしていろいろな困難にであい、そのつど力をあわせてのりこえていきます。
 この「テーブルトークRPG」こそ、「ドラクエ」「ゼルダ」「ファイナルファンタジー」など、みんながだいすきなテレビゲームのもとになった遊びであり、「文学とテレビゲーム」をつなぐもっともたいせつなカギなのです。

 それにあわせて、何も知らない人でも理解できるように「TRPGとは?」といった解説、「ミニチュアを使用した戦争(ウォー)ゲーム」の古典であるH・G・ウェルズがデザインした“Little Wars”に、同作をルーツに持つ(『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の前身)でもある戦争ゲーム“Chainmail”の解説を含んだ「TRPGの誕生と発展」、さらにはゲームブックやリプレイの説明なども盛り込んだ「日本のTRPG」といった解説パネルが掲示され、実際に『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版の「赤箱」、『ルーンクエスト』といったRPGのボックスが展示されました。
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【RPGのボックス展示(写真は「日本一周ぶらり旅」さまより引用)】

 とりわけ面白いのはプレイバイメール(郵便を使って遊ぶRPG)風の企画「ヲタブンQuest 往きて還りし物語」が実際にプレイされたことでしょう。「往きて還りし物語」とは物語の基本的な構造で、現在映画化されて大変な好評を博しているJ・R・R・トールキンの『ホビットの冒険』でも採用されています。この企画は北海道大学RPG研究会が協力し、20人もの参加者を集め、好評を博したということです(北海道大学RPG研究会のほかにも、今回の「テレビゲームと文学展」には、藤井昌樹さま・宮崎佳奈さまが、パネルの文章執筆やゲームデザイン等、さまざまな協力を行っておられます)。
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【「ヲタブンQuest」で使用された各種シート】

 第三部では、「身体性」および「双方向性」という、ゲームを考えるにおいて欠かせない視点から、アクションゲーム、格闘ゲーム、体感推理ゲーム、ノベルゲーム、といった試みと「文学」の関係が模索されました。
 「身体性」が主軸となるアクションゲームを分析するにあたっては、「距離」や「間合い」といった視点が不可欠だとの指摘がなされ、ハードウェアやインターフェースの性能向上とともに、3D-CGのような三次元の感覚、あるいは体感型コントローラーの導入などが行なわれてきたと説明されます。面白いのは、直木三十五の剣豪小説『討入』と対比することで、そこにも「文学」とリンクする可能性が存在していることが、きちんと明示されていることでしょう。

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【「テミヤ線ファイター」(小樽文学館の側にある廃線・旧手宮線での格闘ゲーム)】

 それは、「体感型推理ゲーム」の紹介にあたっても同様で、証拠品が袋にとじこんであり、ゲームブックの嚆矢として語られることもある『マイアミ沖殺人事件』(デニス・ホイートリー)との対比で、名詞と動詞の入力で行われる初期のアドベンチャーゲームから、コマンド選択式のアドベンチャーゲームなど、ゲームシステムの違いをわかりやすくヴィジュアルで紹介しています。
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【ゲームシステムの変化が一目瞭然】

 その他、太宰治の『走れメロス』を横スクロール型のアクションゲームにしたらどうなるのかがシミュレーションされたり(『ベストセラー本ゲーム化会議』を彷彿させます)、あるいは小樽文学館の「色内広場」を舞台のオンラインゲームが構想されたりと、既成の枠組みにとらわれず、遊び心いっぱいに文学館という「場」を活かしながら、改めて「文学」のあり方が再考されているのが興味深く感じました。

 むろんここで紹介したのは、「テレビゲームと文学展」の一部にすぎません。ほかにも、展示に合わせてさまざまな参加型の企画が行われました。
 地域の文化を守り育てるために文学館が果たしている役割は、予想外に大きなものです。
 文学館に所蔵された資料のなかには、そこでしかアクセスできない貴重なものがありますし、学芸員の方々による工夫をこらした展示によって、文学を「そこにある、生のもの」として感じ取ることが可能です。
 それは、一人で本を読む経験とは、また学校で習う国語学習とは異なる展望を、私たちにもたらしてくれると確信します。
 「身体性」と「双方向性」に着目した「テレビゲームと文学展」は、知識の修得と実際の参加をうまく両立させた、意欲的な試みであることは間違いないでしょう。
 展示にあたっては著作権侵害などの恐れが生じないように工夫を凝らしつつ、企画展開催中は、会場の撮影やインターネット上での公開を積極的に推奨することで、広く浸透をはかったのことですが、そのような”開かれた”アプローチも興味深いところです。
 今年4月から開催される「ボードゲームと文学」展が、ますます楽しみになりました。

 快く資料の提供と公開許可をいただきました、市立小樽文学館の玉川薫副館長に改めて御礼申し上げます。

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企画展「ボードゲームと文学」

企画展「テレビゲームと文学」に続く、「ゲームと文学」シリーズ第2弾。
世界各地で根強い人気があるボードゲーム。その内部に組み込まれた「物語」に着目し、文学との接点を探ります。また、ゲームの盤面デザインやパッケージイラストなどアート的側面も紹介します。親子で楽しめる展覧会です。

1.魔法ゲーム「魔法のラビリンス」他
2.冒険ゲーム「小さなドラゴンナイト」他
3.おばけゲーム「3匹のおばけ」他
4.推理ゲーム「アロザ殺人事件」他
5.海賊ゲーム「海賊ブラック」他
6.動物ゲーム「やぎのベッポ」他

その他にも楽しい企画が盛りだくさんです。

会期:2014年4月4日(金)~6月8日(日)
休館日:月曜日(5月5日を除く)、4月30日(水)、5月7日(水)~9日(金)、13日(火)
入館料:一般300円、高校生・市内高齢者150円、中学生以下無料

市立小樽文学館公式サイトより引用。

増川宏一語る「研究の切り口」―その〔3〕(全3部)

増川宏一語る「研究の切り口」―その〔3〕(全3部)
(本文:増川宏一、解説・レビュー:蔵原大、協力:草場純、仲知喜)

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■【解 説】
  蔵原 大

 増川宏一といえば、ゲーム研究にとって「大先輩」にあたる、遊戯史研究の分野でご活躍されてきた高名な研究者です。将棋や賭博(ギャンブル)の盛衰に関する増川先生の史学研究について、ご存知の方も多いでしょう。

■ 遊戯史学会:http://www.gameshistory.net/

 先日、幸運にも増川先生とご縁ができましたので、当AGSの草場純顧問を介して、遊戯史や歴史研究における「研究の切り口はどのように見つけたらよいのか」をお聞きしました。遊戯史(あるいは歴史学やゲーム研究)はどんなポイントから研究してゆく学問なのか、ということをお訊ねしたわけです。

 以下の【本文】は、増川先生のご承認を得て、先生よりいただいたお手紙を転載したものです。長くなりますので、今回は三分割したうちの最後の部分「その〔3〕」を公開しました。

●その1( http://analoggamestudies.com/?p=199 )
●その2( http://analoggamestudies.com/?p=359 )

はすでに公開中です。

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■【本 文―その〔3〕】
  増川宏一

(その〔2〕 からの続きです)

 資料を探すのも大事な研究の一環です。信頼できる第一級の資料に辿りつくことは立派な研究活動です。

 よい資料を入手したら、それをどう読み解くか、自分の力量が試される問題です。大切な箇所に気がつかなかったり、見落とさないように鍛錬しておくことが必要です。これが無いと「猫に小判」で、たぶん私はいつも見過ごしているのではないかと思っています。

 遊戯史研究は、従来の史資料を遊戯史の観点から再検討することです。例えば『中世法例史資料』のなかに大和薬師寺の「薬師寺博奕制禁評定記録」(永禄一一年・一五六八年・三・二)の評定で「博奕徳政」のことが述べられています。この数年前も寺領内の博奕倍増とあるのですが、ついに博奕徳政をせざるをえないようになっています。賭博で負けた借財を全部チャラにする、という意味でしょうが、日本の遊戯史上、このような珍しいことがあったのにこれ迄、どなたも言及されませんでした。それで『(仮題)日本遊戯思想史』で述べることにしました。

 記録類の内容を積語しなければならない一例です。

解説コメント:この「博奕」とは「バクチ」ことギャンブル行為。なお「永禄一一年」とは、「桶狭間の戦い」が永禄三年(一五六〇年)、イギリスの劇作家シェイクスピアの生誕が永禄七年(一五六四年)に相当〕

 以上が先日の御手紙の返事です。御満足いただけなかったように思いますし、参考にならなかったと思います。

 研究の苦労や失敗談は幾つかありますが、これこそ参考にならないので省略しました。

 私は「遊び」を人間の生活のなかで正当に位置づけたいと思い、そのためには不当な評価や蔑視、無視を正そうと常々思っています。

 粗雑な返事になりましたが御容赦ください。

[追伸]
 私は次作『(仮題)日本遊戯思想史』の下書きのため毎日忙しくしております。昨日は長時間図書館で戦前戦中の「少年倶楽部」の少年小説を読み耽りました。とても懐しく、完全にタイムスリップした一日でした。少年に与えた軍国思想も「切り口」のひとつでしたので。

[二伸]
 切り口というのは一定の視点から述べることで、追伸のところは、「少年に与えた軍国主義、軍国思想」は、誰がどのようにして与えたのかを告発したい、という意図からです。あの時、手紙に書いたと思いますが、太平洋戦争が始まってまもなく、ミッドウェー海戦で日本海軍は大敗北で、戦死者三,〇五七名でした。この戦死者のうち、一四歳で海軍に志願した者八名、一五歳で志願した者三九名、一六歳で志願の者一五八名、一七歳で海軍に志願して戦死した者二六一名です。戦争が前途有為の青少年を殺したことに憤りといたましい気持ですが、それとは別に、一四歳、一五歳は親の反対を押し切ってか、親に隠して志願したのでしょう。その子供達は、つい先刻まで米英撃滅カルタで遊び、征け少年よ、という絵双六で遊び、少年倶楽部の軍事冒険小説で米英と闘うことを教え込まれ、海軍に志願して戦死したのです。

ミッドウェー海戦

 私は玩具や少年物語物が戦死へ誘う用具に転化した、本来楽しむべき遊戯具が、たとえ一時的にしろ、限られた社会状況にせよ、本来と異なる役割を果した、と知り、遊戯史研究の視野が開けたように思いました。これも『日本遊戯思想史』に記しましたが、どの立場からモノを見るか、が「切り口」の最も大切なことと思います。

(おわり)

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■【レビュー:増川宏一『将棋の歴史』】
  蔵原 大
将棋の歴史

 なお読者の中には増川先生の業績に不案内な方もおられるかもと思い、ここに先生のご著書のレビューを付け加えました。理解の一助にしてくだされば、幸いです。

 ところで増川宏一先生の名前を世に知らしめているものは、やはり先生の将棋史にかんする研究の成果でしょう。そのまとめにあたるのが、平凡社から出された『将棋の歴史』です。

http://www.amazon.co.jp/dp/4582856705

 よく将棋は、日本の伝統文芸のひとつとして引き合いに出されます。棋士たちの活躍やコメントが週刊誌に載ることだって、そう珍しくありません。にもかかわらず意外にも、将棋に関する歴史は、研究者が少ないせいか、今でも誤解されていたり、よくわからない点が少なくないのです。

 例えば……

 ▼日本の将棋は、中国の由来か、東南アジアから来たのか?
 ▼昔の「大将棋」「中将棋」は、実際にプレイされていたのか?
 ▼江戸時代、将棋指しは幕府から優遇されていた、というのは本当か?
 ▼明治から今まで、将棋とマスコミはどう寄り添ってきたか?

などなど、案外に知られていない諸々の事柄について、増川『将棋の歴史』は丁寧に解説してくれます。

 こうした将棋に関する歴史をひも解いていくと、いわゆる「伝統」「日本文化」が、外国の影響を受けていたり、思いがけない方向にチェンジしたり等、単なる古めかしさとは一線を画することが分かってきます。

 それというのも「伝統」とは、太古からの既定路線ではなく、昔の人・今の人・外国の人・この国の人々が作り出していく合作だからなのでしょう。将棋を通じて、改めて日本のモノづくり文化、クールジャパンを考え直すというのも面白いかもしれませんね。

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■【むりやり関連書籍】

● 山田芳裕『へうげもの』(漫画)
へうげもの
( http://www.moae.jp/comic/hyougemono )

 もともと茶の湯は、将棋と同じく、海外から伝来したポップな食文化の一つでした。茶の道に半生をかけた稀代のオタクこと古田織部のケシカラン生涯を追いかけるクールなマンガ!
 カッコイイって、こういうヤツだね。

● 東島誠『自由にしてケシカラン人々の世紀』
自由にしてケシカラン人々の世紀
( http://book.akahoshitakuya.com/b/4062584670 )

 中世の将棋は、もともと公家・僧侶といったセレブ限定の遊びだったと考えられています。コマを漢字で見分ける将棋、あるいは短歌のような文字遊びは、読み書きができない庶民には閉ざされていました。

 それが戦乱の南北朝時代になると、社会の表舞台に「悪党」「異類異形」なるパンクなベンチャー人が出没し、「江湖」という開かれた実力主義が駆けぬけ、公序良俗をかき乱しつつ、将棋を始めとする諸々の文化を庶民へと解放していくのです。

 『自由にしてケシカラン人々の世紀』は、アニメ『もののけ姫』、後醍醐天皇や楠木正成に象徴される「異類異形」「異形の王権」の生きざまをヴィヴィッドに描きつつ、世の中の混乱から生まれる歴史のイフこと「可能態」を足がかりにアキハバラの今、現代世界の変革まで見すえた野心作です!

【活動報告】Analog Game Studies第11回~16回読書会報告&各種活動報告

【活動報告】Analog Game Studies第11回~16回読書会報告&各種活動報告

 岡和田晃
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 Analog Game Studiesのサイト移転に伴い、活動報告が遅れておりましたが、その後も読書会は続いております。2013年3月の第11回では、杉山正明『モンゴル帝国と長いその後』(講談社)を扱いました。中世世界を席捲したモンゴル帝国、その成立が世界に与えた影響を振り返ることで、「ポスト・モンゴル時代」の現代を解釈し直す、といった内容で、アカデミズムとジャーナリズムにおける言説のあり方、西洋中心主義的な歴史学へのオルタナティヴについてなどが議論されました。

 2013年5月の第12回では、石光泰夫『身体 光と闇』(未來社)を扱い、映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』等を参照しつつ、身体と観念、そして近代資本主義社会の関係について幅広い議論が交わされました。

 2013年7月の第13回、9月の第14回、2014年1月の第16回では、ケイティ・サレン&エリック・ジマーマン『ルールズ・オブ・プレイ』下巻(ソフトバンククリエイティブ)を少しずつ精読しております。

 2013年11月の第15回は、明神下ゲーム研究会と合同開催で、「Mission Impossible 04 発達障害と想像力の世界」の開催準備の話し合いを行ないました。
 今後もAnalog Game Studiesは、より良いアウトプットを行なうために、読書会と議論を続けて参ります。

 このおよそ1年の間に、Analog Game Studiesのメンバーが行なった活動の一部をご紹介していきます(AGS内記事執筆・査読等を除く)。
 顧問の草場純氏は、小野卓也『ボードゲームワールド』(スモール出版、2013年5月)の座談会に参加し、また、2013年6月28日に「週刊金曜日」の東京南部読者会の催しで「左手利きと教育」についての講演を行ないました。「週刊プレイボーイ」2013年10月28日号、「日経流通新聞」2014年1月13日付のボードゲーム記事で取材を受け、コメントが掲載されました。また、アークライトから発売された『ククカード』のルール執筆と解説を担当しています。

 加えて人工知能研究者にしてゲームAIの開発者である三宅陽一郎氏との対話記事「ゲームデザイン討論会」が好評を集めました。その他、各種ゲーム関連イベントに、随時参加しています。また高田馬場の日本点字図書館3階会議室にて、視覚障害の当事者・支援者と「視覚不要! RPG この町を救え」を開催しました。
 AGS代表の岡和田晃は、「Role&Roll」に連載されている『エクリプス・フェイズ』関係の記事、および「SF Prologue Wave」の『エクリプス・フェイズ』企画に毎号協力しています。また、『ホームズ鬼譚~異次元の色彩』(創土社、2013年9月)に収録されたフーゴ・ハル「バーナム2世事件」への協力も行ないました。『本格ミステリー・ワールド2013』(南雲堂、2013年12月)では、座談会「ゲーム化しライト化する2013ミステリ」に参加。また、評論集としては初の単著『「世界内戦」とわずかな希望 伊藤計劃・SF・現代文学』(アトリエサード、2013年11月)を刊行し、「日本経済新聞」「SFマガジン」「小説推理」「紀伊國屋じんぶん大賞」といった媒体で評され、日本図書館協会の選定図書とされました。

 イベントは「Role&Roll Station」で継続的に開催されている『エクリプス・フェイズ』体験会、『ウォーハンマーRPG』オンリーコンベンションといった会話型RPGのイベントにゲームマスターとして携わり、JGC(ジャパンゲームコンベンション)2013での『ハーンマスター』体験会、発達障害の特性を持つ当事者・支援者・会話型RPG(テーブルトークRPG、TRPG)の専門家が一同に集い共に楽しむコラボレーションイベント「Mission Impossible03 発達障害と想像力の世界」(2013年6月)、同じく「Mission Impossible04 発達障害と想像力の世界」(2013年11月)にもゲームマスターとして参加しました。また、ジュンク堂書店池袋本店でのイベント「未来を産出(デリヴァリ)するために」(2013年10月)、市民講座・SF乱学講座「「伊藤計劃以後」のSFと文学」(2013年12月)等で講演を行いました。その他、各種雑誌や新聞等に寄稿を行なっています。詳しくは岡和田晃のウェブログをご参照ください。
 伊藤大地は、『ウォーハンマーRPG』オンリーコンベンションの展開に関わり、また「Mission Impossible03」、「Mission Impossible 04」にそれぞれプレイヤーとして参加しました。
 蔵原大は、第25回遊戲史学会で「遊戯から政策へ:”行政広報ゲーム”とは何か?」という講演を行い、また「Mission Impossible03」にプレイヤー参加。また「遊戯史研究」25号(2013年10月)に「近現代ウォーゲーム(兵棋演習)の歴史――二百年の変遷」を寄稿いたしました。
 小春香子は、「Mission Impossible03」(2013年6月)にプレイヤーとして参加し、2014年2月には、『エクリプス・フェイズ』小説「龍の血脈」が日本SF作家クラブ公認ネットマガジン「SF Prologue Wave」に掲載されました。
 齋藤路恵はメイン・デザイナーとして、エテルシアワークショップ・東京都成人発達障害当事者会イイトコサガシとの共同作品である会話型RPG『ラビットホール・ドロップスi』(エテルシアワークショップ、2013年11月))を完成させました。同作品はゲーム専門家や発達障害の当事者・支援者、その他コミュニケーションに関心を持つ方々に大きく評価されました。

 また、「SF Prologue Wave」に『エクリプス・フェイズ』小説「ゲルラッハの恋人」を寄稿。イベントでは、「伏見健二講演会――RPGで開かれる世界――」に協力、「視覚不要! RPG この町を救え」ではゲームマスターとして参加しました。SF乱学講座で「日本における同性愛”者”の発見/発明」(2013年2月)、「会田誠 戦争画リターンズを読む」(2014年2月)の講演を行ない、また「Mission Impossible 03」、「Mission Impossible04」にゲームマスターとして参加しました。
 田島淳は、サンセットゲームズから日本語版が発売予定の『ハーンマスター』入門キット『雛菊の野』の翻訳に参加、またJGC2013『ハーンマスター』体験会、および『ウォーハンマーRPG』オンリーコンベンション、「Mission Impossible 03」にそれぞれゲームマスターとして参加しました。
 髭熊五郎は、トリックテイキングゲームオンリーイベント「Trick Taking Party vol.1」(2013年3月)、「Trick Taking Party vol.2」(2013年10月)を主催し、また「Mission Impossible 03(2013年6月)」にプレイヤー参加しました。
 八重樫尚文は、オンラインセッションツール「どどんとふ」の同人誌「どどんとふで始める初めてのオンラインセッション2013年夏の号」「どどんとふ用オンラインセッションシナリオ集 オンセの素第2号!」の編集を担当し、「Mission Impossible 03」にゲームマスター参加、「Mission Impossible 04」にプレイヤー参加しました。