なかよし村第32回八八大会のご案内

 
 なかよし村にて第32回八八大会が開催されます。

 なかよし村はAnalog Game Studiesの顧問である草場純さんが運営されているアナログゲームの会で1982年4月に創立されました。以来毎週土曜日の19:00~21:30に、高田馬場ブリッジセンターで開催されています。
 週毎にプレイするゲームを決め、参加者全員でそのゲームに参加するのが原則です。

 今回のゲームは花札を使った遊びの1つ、八八(はちはち)です。

 八八は花札で最も面白いとされている遊び方です。
 手役を覚えるのに多少の手間がかかりますが、それだけの甲斐があります。

 八八という遊びがあるのは知っているけど、実際はどんなものかは知らない。興味はあるけどルールを知らないから不安だという方もご安心を。
 会が始まる前の18:00から来て頂ければ詳しいルールの説明が受けられます。

 遊び方も覚えられてすぐにゲームを楽しめるなかよし村。次回は12月28日(土)開催です!
 ぜひお越し下さい!

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■開催日:2013年12月28日(土)
■19:00~22:00 八八のルール講習を望まれる方は18:00~
■会場:東京都新宿区高田馬場2-16-11高田馬場216ビル3F高田馬場ブリッジセンターhttp://www.jcbl.or.jp/home/store_club/takadanobaba/tabid/90/Default.aspx
■主催:なかよし村
■定員:60名
■参加費:400円
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増川宏一語る「研究の切り口」―その〔2〕(全3部)

増川宏一語る「研究の切り口」―その〔2〕(全3部)
(本文:増川宏一、解説・レビュー:蔵原大、協力:草場純、仲知喜)

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■【解 説】
  蔵原 大

 増川宏一といえば、ゲーム研究にとって「大先輩」にあたる、遊戯史研究の分野でご活躍されてきた高名な研究者です。将棋や賭博(ギャンブル)の盛衰に関する増川先生の史学研究について、ご存知の方も多いでしょう。

■ 遊戯史学会:http://www.gameshistory.net/

 先日、幸運にも増川先生とご縁ができましたので、当AGSの草場純顧問を介して、遊戯史や歴史研究における「研究の切り口はどのように見つけたらよいのか」をお聞きしました。遊戯史(あるいは歴史学やゲーム研究)はどんなポイントから研究してゆく学問なのか、ということをお訊ねしたわけです。

 以下の【本文】は、増川先生のご承認を得て、先生よりいただいたお手紙を転載したものです。長くなりますので、今回は三分割したうちの「その〔2〕」を公開しました。
●「その〔1〕」はすでに公開済み。
「その〔3〕」も公開です。

(Note: Some of the game images below are quoted from the British Museum for scholary & non-commercial purpose according to the Standard Terms of Use: (http://www.britishmuseum.org/about_this_site/terms_of_use.aspx). Their copyright is preserved by the Museum.)

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■【本 文―その〔2〕】
  増川宏一

その〔1〕からの続きです)

 明治以来、遊びは学術研究の対象になりませんでした。そのため研究の蓄積も充分ではありません。皆様がゲームという大きなテーマに果敢に取り組んでいられることに私は敬意を表します。よくぞ頑張っていられると尊敬もし、感嘆し、激励したいと常に思っています。

 私の考えを詳しく述べる紙数もありませんので、気付いていることを簡略に述べると、盤上遊戯の歴史に興味をもっているのは、少なくとも五〇〇〇年という長い歴史をもち、現在に至るまで起伏も多く、分岐して様々な方向に向かい、或いは独創や隆盛、衰退や消滅があるのは、まさに人間の歴史と共通していること。ですから「ゲームに反映されている人間の歴史」とでもいえることを追及したいこと。すなわち巨視的な観点からが一つ。

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 画像は、大英博物館の所蔵品「ウルの宮中ゲーム」。イラク南部の古代都市遺跡ウルで発見され、紀元前2600~2400年頃のもの。

The image is quoted for scholary purpose from “British Museum – The Royal Game of Ur” ( http://www.britishmuseum.org/explore/highlights/highlight_objects/me/t/the_royal_game_of_ur.aspx ). The copyright is preserved by the British Museum.

 古代シュメール文明に属するウルの町並みをごらんになりたい方は、大成建設の「古代文明都市ヴァーチャルトリップ」へ→( http://www.taisei.co.jp/kodaitoshi/civil/civilization.html )。

 次は、ゲームが変化するのは、遊び手である人間がゲームを変えていることで、変える人間はその時代の風潮、考え、感覚、流行、嗜好、信条など、その時代の環境に影響されていると考えています。その時代に生きている人々の感覚が投影されてゲーム(又はルール)が変えられる、と思っています。

 この両者のなかにも「切り口」は見つけられると考えています。例えば、江戸の黄表紙本に現われている滑稽や諧謔、才覚や人情は、そのまま歌舞伎にも反映していますが、かるたや絵双六にも表われています。ですから江戸の雰囲気というのも一つの「切り口」でしょうし、多色刷の錦絵と同等な絵双六は、遊戯具に示されている芸術性という視点からも採り上げることができます。

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〈「江戸名所双六」(国立国会図書館所蔵、転載許可取得済み)http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1310733〉

 今、私が下書きをしている次の本の或る一章は「戦争と遊戯」をひとつの「切り口」に考えています。これには、戦争による遊びのかげり(細かいことで申し訳ないのですが、日中戦争が始まると神戸市内の麻雀荘が激減したこと等)から始まって、勇ましい紙芝居など、これも或る時代を「切り口」にしたといえるでしょう。

 このような様々な「切り口」があることに気づかれたら、自分の最も得意とする分野で「切り口」を見つけるようにしたら、案外、容易に発見できるかもしれません。あまり自信の無い分野は避けたほうがよいでしょう。但し、全体からの関連でどうしてもここで、これをテーマにするべきだ、または必要か、しなければならない、となったら話は別です。資料を探し、いやでも取り組むと自分の勉強になります。

 資料を探すのも大事な研究の一環です。信頼できる第一級の資料に辿りつくことは立派な研究活動です。

(その〔3〕に続きます)

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■【レビュー:増川宏一『盤上遊戯の世界史』】  蔵原 大
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 なお読者の中には増川先生の業績に不案内な方もおられるかもと思い、前回同様、ここに先生のご著書のレビューを付け加えました。理解の一助にしてくだされば、幸いです。

 シルクロード、という言葉の説明はとくにいらないでしょう。古代から現代に至るまで、世界中をさまざまな文物が往来しています。もちろんシルク(絹)だけではありません。今ならインターネットで無料ゲームが配信されますが、昔のゲームはヒトの手に抱えられて、山を越え、砂漠を越えて、海の彼方からやって来たのです。囲碁・将棋しかり、トランプしかり。

 この『盤上遊戯の世界史』は、シルクロードをはじめとする交易の道を通じて広まったゲームが、その変遷や伝わったルートと共に紹介されています。それも将棋(象棋・チェス)やトランプといった、お馴染みのコンテンツにとどまりません。「ポロ」(馬に乗ってボールを打ちあう遊び)や「マンカラ」(アフリカ・東南アジアなどでの伝統ゲーム)、さらには古代オリエント史の中に消えてしまった謎のゲームまで網羅されているのです。

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 画像(シエラネオネ製)は、大英博物館の所蔵品であるマンカラ・ゲームの基盤。マンカラは、アフリカや東南アジアに見られる盤上ゲームです。

The image is quoted for scholary purpose from “British Museum – Mancala (wari) board” ( http://www.britishmuseum.org/explore/highlights/highlight_objects/aoa/m/mancala_wari_board.aspx ). The copyright is preserved by the British Museum.

 『盤上遊戯の世界史』は、どんな時代であれ、人類が遊びにそそぐ情熱とエネルギー、その大きさを感じさせてくれる名著だといえるでしょう。とくに日本ゲームの海外進出を考えておられるプロの皆さんにとっては。

 さて『盤上遊戯の世界史』の構成はつぎの通りです。

 ○ はじめに
 ○ 第一章 オアシスの路
 ○ 第二章 草原の路
 ○ 第三章 海のシルクロード
 ○ 第四章 日本への伝来
 ○ おわりに―新たな問題提起

 この本では、ゲーム研究の意義が、人類史そのものへの問いかけに重ね合わせて述べられています。皆さんへのご参考に、以下一部引用しました。

 「本書は人間が創り上げた文化の重要な側面を示す遊びについて考察するものである。盤上遊戯を主題としたのは、一万年近い歴史があり、進化ともいえる起伏に富んだ過程をみることができるからである。人々によって遠くまで伝えられた跡を知ることも可能だからである。何よりも人間の意志や意欲が反映されているからである。

  遊びは長い年月の間に枝分かれして、多種多様になった。新しく考案されたものや、しばらくして消えたものもある。遊び継がれてきたものには、楽しみを追い求める人間の姿があり、幾世代、幾十世代にわたって、あるいはもっと長い年月にわたって遊ぶ歓びを伝えてきたからである。これらの遊びから人間の営みの跡を辿ることにする。つまり遊びの歴史を調べることは人間の歴史を解明することにつながる。本書は、このような視点から遊びをとりあげていくものである。」(『盤上遊戯の世界史』pp.15-16)

 遊びやゲームって、ほんと奥深いですね。

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 画像は、大英博物館の所蔵品である古代エジプトのゲーム「セネト」です。セネトは今から1000年以上前に「滅んでしまった」ゲームでして、本来のルールや遊び方は謎につつまれています。

 セネトについては、当AGS顧問の草場純の解説をごらんください。

The image is quoted for scholary purpose from “British Museum – Senet game” ( http://www.britishmuseum.org/explore/highlights/highlight_objects/aes/s/senet_game.aspx ). The copyright is preserved by the British Museum.

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■【ムリヤリ関連書籍】

● ヒカルの碁(アニメ・漫画)
 http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/hikaru/
 http://www.amazon.co.jp/dp/4088727177

● 藤本徹『シリアスゲーム―教育・社会に役立つデジタルゲーム』
 http://www.amazon.co.jp/dp/4501542705

 先ほどの増川先生曰く「遊び手である人間がゲームを変えている」の最たるものは、ゲームが遊び以外の領域で成果をあげていることかもしれません。現代の医療や大学教育などの、その現代の現場におけるゲームの社会的効用を追跡した書籍です。

 日経ラジオ「マネー女子会」のシリアスゲーム解説(by 藤本徹)は、コチラでお聴きできます→ http://www.radionikkei.jp/podcasting/themoney/2013/12/player-post-121.html
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● 石井米雄・吉川利治『日・タイ交流600年史』
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 日本の将棋は、はるばる東南アジアから伝来したと言われています。またPCに欠かせないHDD(ハードディスク)、その世界的需要の大半を担っている国は東南アジアのタイだとか。この『日・タイ交流600年史』は平安の頃から江戸、明治そして現代にも続く日本とタイとの交流について、東南アジア史の大家であった石井先生、吉川先生がまとめられた一作です。

 東南アジアの人々って、日本人とはどんな係わりを持ってきたのか? 意外に多い日本との接点をお知りになりたい方には特にお勧めです。