【活動報告】 Analog Game Studies 各種活動報告( 2016 年 1 ~ 9 月)

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【活動報告】 Analog Game Studies 各種活動報告( 2016 年 1 ~ 9 月)

 岡和田晃

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 2016 年 1 ~ 8 月の Analog Game Studies の活動報告をさせていただきます。

 新体制の Analog Game Studies では、遊戯史学会の分科会となったボードゲーム読書会@高田馬場と合流し、毎月、研究活動をしています。 1 ~ 8 月は毎月 AGS メンバーが参加いたしました。

 大著である Jon Peterson “ Playing at the World ” (2012, Unreason Press) をようやく読み終わりました。また、 Tracy Fullterton “ Game Desin Workshop ”日本語版(『中ヒットに導くゲームデザイン』、中本浩訳、ボーンデジタル、邦訳 2015 年)を少しずつ読み進めております。その他、『キリギリスの哲学』の訳者の論文、川谷茂樹「〈人生〉がゲームであるという可能性について」の講読を行いました。
 いずれも大著ですが、学習の成果をアウトプットに役立てることを目指しています。読書会の模様(動画)やレジュメの PDF は、ボードゲーム読書会のサイトからダウンロードできますので、ぜひアクセスしてみてください。

 最近では、電子版が発売されたばかりのイェスパー・ユール『ハーフリアル』の講読を行っております。こちらは校閲協力も兼ねておりまして、あとがきや巻末に AGS メンバーが言及&クレジットされています。名著ですので、ぜひご覧ください。

 また、ボードゲーム読書会では、「浄土双六」のテストプレイも行いましたが、こちらも草場純の現代語訳で発売されました。

 ボードゲーム読書会を除いた AGS の主な活動を下記で紹介していきます。

 2016 年 1 月発売の「 TH (トーキング・ヘッズ叢書)」 No.65 「食と酒のパラダイス!」には、岡和田晃と田島淳が共著「『ダンジョン飯』から広がるディープなファンタジーゲームの世界」を寄稿しました。『ウィザードリィ』や関連小説群に『アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ』の“ Wilderness Survival Guide ”、『ザナドゥ・データブック』、グローランサ世界の『トロウルパック』、菊地秀行『妖神グルメ』、ペトロニウス『サテュリコン』までをコアに紹介。

 同じく 1 月発売の『きっとあなたは、あの本が好き。連想でつながる読書ガイド』で、岡和田晃は都甲幸治氏×阿部賢一氏との鼎談で J ・ R ・ R ・トールキンや『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の話をしています。

  2 月 7 日には東洋文庫で《ゲームデザイン討論会―公開ディスカッション 2016 年》 . が開催。大盛況でした。司会が蔵原大、パネル参加者に草場純。詳細は待兼音二郎氏・岡本充弘氏のレポートをご覧ください。

  2 月 11 日は、岡和田晃のゲームマスターにて、『ルール・ザ・ワールド ワイルド 7 』をゲストにいたる氏、沢田大樹氏、市川大河氏をお迎えしてプレイしました。この経験をもとに、 2 月 14 日にはいたる氏、沢田大樹氏、岡和田晃が高梨俊一氏のインタビューを行いました。

  2 月 29 日にはウォーゲームを強化。 GDW 社の SF ゲーム「メイデイ」と、中嶋真氏デザイン「三十年戦史」(「ダブルチャージ」 4 号)をプレイしました。

  3 月 7 日には AGS でも告知された「クク大全を遊ぶ会」を開催。日本式クク、インディアンクク、イタリアクク 1 、イタリアクク 2 、イタリアクク 3 、 5 枚キッレ 1 と、 7 種類の『クク』を体験。レポートは Togetter にまとめられています

  3 月 14 日は、 AGS 内でのスーツ『キリギリスの哲学』講読と、リュディガー・トルンのカードゲーム『アサンテ』、高梨俊一氏デザインのウォーゲーム「ドイッチュラント・ウンターゲルト」(「タクテクス」版)をプレイしました。

  3 月 19 ~ 20 日には岡和田晃が第 10 回 TRPG 文華祭にゲスト参加。『ウォーハンマー RPG 』と『エクリプス・フェイズ』を GM 、トークショーにも参加しました。

  3 月 21 日には田島淳の GM で『ルーンクエスト 90 ’ s 』をプレイしました。参加者は伊藤大地、岡和田晃。ゲストは北島一幸氏、なるねこ氏。

  4 月 5 日は、「ぷち伏見健二祭り」として、伏見健二氏デザインの二人用 RPG 『ピークス・オブ・ファンタジー』と、同じく伏見健二氏のウォーゲーム「八王子城攻防戦」(「ウォーゲーム日本史」 15 号)をプレイしました。

  4 月 14 日~ 7 月 28 日まで、岡和田晃が共愛学園前橋国際大学で「ポップカルチャー論」を開講(全 15 回)。

  4 月 24 日は岡和田晃の GM で『エクリプス・フェイズ』をプレイ。プレイヤーに蔵原大、ゲストに小野憲史氏、金澤尚子氏、市川大河氏。

  4 月には草場純が待望の単著『遊びの宝箱』をスモール出版から刊行。大好評を博しております。また、 Trick Taking Party ゲーム賞の選考委員に就任。「 Role&Roll 」 Vol.140 の『エクリプス・フェイズ』特集内、緑一色氏のコミック「スピタのコピタの!」に岡和田晃が参加。翌 Vol.141 以後は翻訳チーム名義から岡和田晃名義になる形で参加しています。


 また、「トーキング・ヘッズ叢書」 No.66 「サーカスと見世物のファンタジア」には岡和田晃と田島淳が執筆参加。『トンネルズ&トロールズ』のソロ・アドベンチャー「サイドショー」のレビューや、「ロック・ミュージックと RPG 文化(その 1 )」を寄稿しました。

  5 月 2 日には田島淳の GM で『ルーンクエスト』をプレイしました。参加者は伊藤大地、岡和田晃、蔵原大。ゲストにヤピロ氏、ヨンギ氏。

  6 月 5 日には共愛学園前橋国際大学で開催された「ポップカルチャー論」のワークショップでゲスト講師の草場純が講師の岡和田晃と一緒に、わらべ遊び「なかなかホイ」に「青山墓地」と、ドミノのインストを行いました。

  6 月 12 日には共愛学園前橋国際大学で開催された「ポップカルチャー論」のワークショップで、ゲスト講師の岩田恵氏と講師の岡和田晃が RPG 『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』をモデルにしたキャラクターメイクのワークショップを行いました。

  6 月 30 日には待望の『エクリプス・フェイズ』基本ルールブック日本語版がついに発売となりました。岡和田晃、高橋志行、仲知喜が翻訳チームに参加。蔵原大が校正協力。 AGS もスペシャル・サンクスにクレジットされております。

  7 月 7 日には共愛学園前橋国際大学で開催された「ポップカルチャー論」のワークショップでゲスト講師の近田全史氏が講師の岡和田晃と、『ローズ・トゥ・ロード』( 2010 年版)の簡易版を用いた RPG のワークショップを行いました。

  7 月 14 日には共愛学園前橋国際大学で開催された「ポップカルチャー論」のワークショップで、ゲスト講師の徳岡正肇氏と岩田恵氏が、講師の岡和田晃とともに『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』を用いたワークショップを行いました。

  7 月 25 日には岡和田晃がスイッチゲームズの『エクリプス・フェイズ』体験会にゲスト参加。『エクリプス・フェイズ』のゲームマスターをしました。同じく、 7 月発売の「 TH (トーキング・ヘッズ叢書)」 No.67 「異・耽美〜トラウマティック・ヴィジョンズ」には岡和田晃と田島淳が執筆参加。特集でサム・チャップ&アンドリュー・グリーンバーグ『ノド書』のレビューや、「ロック・ミュージックと RPG 文化(その 2 )」などを寄稿

 8 月 25 日の CEDEC2016 では、蔵原大が「行政、広報、ゲームの「今」―無料ゲームアプリ「自衛隊コレクション」はどのように企画・開発されたか?―」と題して発表
  4Gamers.com で徳岡正肇氏がレポートしています。

  8 月の「 Role&Roll 」 Vol.143 では岡和田晃の手になる『エクリプス・フェイズ』のゲームシナリオ「スパイダー・ローズの孤独」が掲載。また「ナイトランド・クォータリー Vol.6  奇妙な味の物語」には、ケン・リュウの『エクリプス・フェイズ』小説「しろたえの袖(スリーヴ)――拝啓、紀貫之どの」(翻訳:待兼音二郎氏)と、岡和田晃の解説「トランスヒューマン時代の太陽系――『エクリプス・フェイズ』とシェアードワールド」が掲載。

  9 月 3 ~ 4 日の JGC2016 では、サンセットゲームズの『ハーンマスター』体験会に伊藤大地と岡和田晃がゲームマスターで参加。また、岡和田晃は JGC 内の「 R-CON 」で『エクリプス・フェイズ』と『ガンドッグ・リヴァイズド』のゲームマスターと、新作発表会への出演を行いました。『ハーンマスター』に関しては、お待たせしていました『雛菊の野』の発売の見通しがたちました。

  9 月 17 日は「なかよし村とゲームの木」の第 26 回クク大会。終了後、第 2 回「クク大全を遊ぶ会」を開催、「クックー1」をプレイしました。

 また、新しく始まった株式会社ブックリスタの書評 SNS 「シミルボン」に、岡和田晃蔵原大田島淳が参加しています。こちらもご覧ください。

「『クク大全』を遊ぶ会」のご案内

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「『クク大全』を遊ぶ会」のご案内

 岡和田晃

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 昨年、黒宮公彦『クク大全』(ニューゲームズオーダー)が出版されました。伝統ゲーム『クク』について日本語で書かれた、最も詳しい解説書です。
 関係者曰く、「全282ページ、めくってもめくっても『クク』のルールか『クク』の歴史しか書いていない、という恐るべき本」。
 そのためか、仔細な情報が詰まっているのはよいが実際にプレイしてみないとイメージがわかない、という意見もまま見受けられるようです。
 そこでAnalog Game Studiesでは、『クク大全』に掲載されたゲームを遊ぶイベントを、2016年3月7日(月)に開催することになりました。コーディネーターは、同書の刊行に尽力し帯文を寄稿した草場純(ゲーム研究家、Analog Game Studies顧問)です。
 試験的なイベントのため、平日ではありますが、ご興味のある方は是非お越しください。もちろん、『クク』をはじめアナログゲーム初心者の方も歓迎いたします。

日時:2016年3月7日(月)14:00~18:00(予定)
会場:東中野ディアシュピール(http://www.dear-spiele.com/)
費用:規定の会場費がかかります。ご負担をお願いいたします。
持ち物:黒宮公彦『クク大全』(ニューゲームズオーダー)持参が望ましいですが、必須ではありません。
予約方法:analoggamestudies1★gmail.com(★⇒@)に、「『クク大全』を遊ぶ会参加希望」と表題に添え、「本名、連絡用携帯電話番号、ゲーム歴(ふだん遊ぶゲーム)、『クク大全』を持っているかどうか」をお書きいただき、メールにてお申し込みください(個人情報は厳守します)。
 ※募集は少人数、定員に達し次第、締め切りとなります。

【活動報告】Analog Game Studies各種活動報告(2015年9~12月)&ゲームデザイン討論会のお知らせ

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【活動報告】Analog Game Studies各種活動報告(2015年9~12月)&ゲームデザイン討論会のお知らせ

 岡和田晃
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 2015年9~12月のAnalog Game Studiesの活動報告をさせていただきます。
 新体制のAnalog Game Studiesでは、遊戯史学会の分科会となったボードゲーム読書会@高田馬場と合流し、研究活動をしています。
 G.バウアー『ギャンブラー・モーツァルト』(吉田耕太郎・小石かつら訳、春秋社、邦訳2013年)を読了し、現在は、Jon Peterson “Playing at the World” (2012, Unreason Press)、Tracy Fullterton“Game Desin Workshop”日本語版(『中ヒットに導くゲームデザイン』、中本浩訳、ボーンデジタル、邦訳2015年)を少しずつ読み進めております。いずれも大著ですが、学習の成果をアウトプットに役立てることを目指しています。読書会の模様(動画)やレジュメのPDFは、ボードゲーム読書会のサイトからダウンロードできますので、ぜひアクセスしてみてください。


 今回のボードゲーム読書会に参加しているAGS顧問の草場純、またボードゲーム読書会主宰の沢田大樹氏による講義録を収めた『ボードゲームのいろはにほへと』(ペンタメローネ)が、11月22日のゲームマーケット2015秋で頒布されました。同ゲームマーケットでは草場純が、ゲームマーケット大賞の選考委員として活動しています。
 2015年10月に発売された黒宮公彦『クク大全 ルール・ヴァリアント・歴史』(ニューゲームズオーダー)には、草場純が帯文を寄稿しています。

 それとは別に、9月4日~6日のJGC2015では、AGSの岡和田晃と田島淳が、プロジェクト・ハーンの一員として、サンセットゲームズのブースにて『ハーンマスター』体験会を開催いたしました。AGSでもその活動をご紹介したことがある作家の長谷敏司氏がご来場くださいました。
 また、AGSメンバーが実験的に行なっているゲーム会では、9月21日に田島淳のゲームマスターで『ストームブリンガー』第二版(ケン・セント・アンドレ、スティーブ・ペリンがデザイン)のテストプレイを行いました。使用したのは伏見健二氏デザインのシナリオ「紫水晶と鮮血」。ゲストとして作家の片理誠氏をお招きしました。
 これらのイベントの模様は、「TH(トーキング・ヘッズ叢書)」No.64の記事「死と隣りあわせの世界で、「感情と意志の交錯」を追体験 『ストームブリンガー』第二版と、伏見健二「紫水晶と鮮血」」(岡和田晃)で詳しく紹介されています。

 なお、この号には、岡和田晃が奥谷道草(HUGO HALL)『オモシロはみだし台湾さんぽ』のレビュー、安田均監修、河野裕・友野詳・秋口ぎぐる・柘植めぐみ著『ブラックミステリーズ 12の黒い謎をめぐる219の質問』のレビューをそれぞれ寄稿し、また田島淳が「氷川霧霞編『TRPGシナリオ作成大全』Vol.5を詳細に論じております。『TRPGシナリオ作成大全』Vol.5のレビューについては、「氷川TRPG研究室」でもご紹介いただきました

 10月12日は、『クトゥルフの呼び声』(『クトゥルフ神話TRPG』)をプレイしたことがない、という伊藤大地のために、北島一幸氏をゲストにお迎えして、岡和田晃のキーパーで『クトゥルフ・ダークエイジ』をプレイしました。
 使用したのは「Worlds of Cthulhu」誌のIssue 01に掲載されたシナリオ「The Vampire of Schwarzbrunn」でした。今回のプレイ経験は「ナイトランド・クォータリー Vol.03 愛しき幽霊たち」に掲載された論考「H・P・ラヴクラフトと煉獄の徴候 ストーカー、レ・ファニュ、アイリッシュ・ヴァンパイア」(岡和田晃)に強い影響を与えています。

 11月23日には、ゲストの北島一幸氏のゲームマスターで、モンテ・クックがデザインした「Numenera」がプレイされました。このプレイ経験を反映して、岡和田晃は「図書新聞」2015年12月12日号「〈世界内戦〉下の文芸時評 第10回 「均質な空間」をサクリファイスする、世界観構築とその物象化」で「Numenera」への言及を行ないました。
 また、12月20日には、作家の高橋桐矢氏、ライターの市川大河氏をゲストに迎えて、岡和田晃のゲームマスターで『エクリプス・フェイズ』がプレイされました。
 『エクリプス・フェイズ』は、日本SF作家クラブ公認ネットマガジン「SF Prologue Wave」でのコラボレーション企画が継続しており、また2016年には基本ルールブック日本語版が出版される予定です。

 蔵原大は、「SF Prologue Wave」2015年11月20日号に「ウォーゲーム研究大会・参加談―イギリスで戦略をプレイするということ」を寄稿。12月5日の遊戯史学会例会では司会をつとめました。2016年2月7日の「ゲームデザイン討論会―公開ディスカッション2016.02.07」を企画、運営しています。AGSからは草場純がコメンテーターとして参加、蔵原大が司会進行役を担当する予定です。

 最後になりましたが、2015年度から蔵原大が東京電機大学の非常勤講師に、岡和田晃が共愛学園前橋国際大学の非常勤講師に、それぞれ就任いたしましたことをご報告いたします。

【活動報告】Analog Game Studie各種活動報告(2015年5~8月)&『ハーンマスター』体験会のお知らせ

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【活動報告】Analog Game Studie各種活動報告(2015年5~8月)&『ハーンマスター』体験会のお知らせ

 岡和田晃
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 2015年5~8月のAnalog Game Studiesの活動報告をさせていただきます。

 新体制のAnalog Game Studiesでは、遊戯史学会の分科会となったボードゲーム読書会@高田馬場と合流し、The Oxford History of Board Games (David Parlett, 1999)、バーナード・スーツ『キリギリスの哲学』(川谷茂樹&山田貴裕訳、ナカニシヤ出版、邦訳2015)といったテクストをメンバーが毎月、読み進めております。

 それとは別に行なった試験的なゲーム会では、ゲストに北島一幸氏、倉数茂氏らを迎え、2015年5月には『パラノイア 【トラブルシューターズ】』、8月には『エクリプス・フェイズ』をプレイすることができました。

 これらの活動と並行して、7月30日発売の「TH(トーキング・ヘッズ叢書)」No.63では、岡和田晃が安田均&秋口ぎぐる『アルケリンガの魔海』のレビュー等を、田島淳が『パラノイア 【トラブルシューターズ】』論を、またゲストの西村遼氏は「東京マッハVol.14 そして夏 そして浅草男祭り」のレポートを、それぞれ寄稿しています。

 8月14日に頒布された「TRPGシナリオ作成大全 Volume 5」ででは、高橋志行が「馬場秀和RPG論集註解:ゲームマスターの「自律の思想」を読み解く」を寄稿しています。
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 8月25日に発売された「SFマガジン」2015年10月号「特集 伊藤計劃」では、岡和田晃が「伊藤計劃読者に薦める「次の10冊」ガイド【ノンフィクション】」内にて、ケイティ・サレン&エリック・ジマーマン『ルールズ・オブ・プレイ』を紹介しています。

 8月28日に発売された「ナイトランド・クォータリーvol.02 邪神魔境」では、岡和田晃が「ケルトの原像と、破滅的リアリズム――フィオナ・マクラウドとRPGから、ロバート・E・ハワードの“昏さ”を捉える」を寄稿。仲知喜がアドバイスと資料提供を行ないました。ヒロイック・ファンタジーの定義の再考にまで遡行し、そこから『クトゥルフ神話TRPG』や『ウォーハンマーRPG』のある部分にも通じる、ケルト性について思考しています。その他、岡和田は「Role&Roll」ほか各誌・新聞等で精力的に活動しています。

 AGS顧問の草場純氏の活動は、多岐にわたるため、また別項で紹介いたします。

 また、これは9月の活動となりますが、ジャパンゲームコンベンション(JGC)2015のサンセットゲームズのブース内にて、本格ファンタジーRPG『ハーンマスター』の体験会を開催します(JGC2015の会期は9月4~6日ですが、体験会は5日と6日)。詳細は日本SF作家クラブの公式ウェブサイトで告知されていますので、こちらをご覧くださいませ

【活動報告】Analog Game Studie各種活動報告(2015年3~4月)

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【活動報告】Analog Game Studie各種活動報告(2015年3~4月)

 岡和田晃
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 2015年3~4月のAnalog Game Studiesの活動報告をさせていただきます。

 新体制のAnalog Game Studiesでは、遊戯史学会の分科会となったボードゲーム読書会@高田馬場と合流し、EUROGAMES: The Design, Culture and Play of Modern European Board Games (Stewart Woods, 2012)、The Oxford History of Board Games (David Parlett, 1999)といったテクストをメンバーが毎月、読み進めております。

 それとは別に行なった試験的なゲーム会&読書会では、ゲストに西村遼氏、汐月陽子氏を迎え、2015年3月にはボードゲーム『ゴーストハンター13 タイルゲーム ディアブロ・ドゥ・ラプラス』、カードゲーム『ポイズン』に『ブラックストーリーズ』をプレイし、また4月に内村博信『ベンヤミン 危機の思考』(未來社)を最後まで読み終えることができました。

 これらの活動の成果として、4月30日発売予定の「TH(トーキング・ヘッズ叢書)」No.62では、岡和田晃が「ゲームデザイン討論会 公開ディスカッション」や『ゴーストハンター13 タイルゲーム』等のレビュー、田島淳が門倉直人『闇と炎の狩人』(新版)、『ウォーハンマーRPG』(重版)のレビュー、ゲストの西村遼氏はロールプレイングポエム『光より遅く』のレビューを、それぞれ寄稿しています。

 5月13日頃発売予定の「ナイトランド・クォータリーvol.01 吸血鬼変奏曲」では、岡和田晃が「ヴァンパイアの情念、理性への叛逆――カーミラとジュヌヴィエーヴ、神話的思考とリアリズム」を寄稿。吸血鬼文学の伝統をふまえたうえで、会話型RPG『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』を論じています。
 また、先の両名のほか、伊藤大地らAnalog Game Studiesのメンバーも参加していた「『ウォーハンマーRPG』体験会」等の活動が一助となり、『ウォーハンマーRPG 基本ルールブック』のエラッタ適用済の重版が刊行されました。初版より9年ぶりの快挙です。詳しくは公式ホームページをご参照ください。

 AGS顧問の草場純は精力的な活動をしています。4月に限っても、「4月は1日水にドラフツ例会、3日金にブリッジ例会、4日土に点字図書館でゲームを教え、赤桐さんのカードゲーム講座、5日日にSF乱学講座に参加、6日月にごいた例会、7日火に新橋のゲーム会に参加、8日水に大宮のゲームスペース訪問、9日木に子ども夢パークで童遊びの指導、ヤポンブランド会議、10日金は麻雀、11日土はポーカートーナメント予選を見学、夜はボードゲーム、12日日は、故石見博昭氏のお別れ会、柏ボードゲームの会に参加、13日はあそべえで子供達と遊び、14日はギャモン例会に参加、15日水は『草場純の遊び百科』の編集会議、16日水はフランスのゲームイベント運営者たちとの交流会、17日金はブリッジ、18日土はパズル懇話会の後、JAGAへ行って5月5日の八八教室の打ち合わせ、それからアブストラクトボードゲームミュージアムに行って、5月16日のアブストラクト会の打ち合わせ、夜はウィザード大会。19日日は四谷のおもちゃ美術館で子供たちにゲームを教え、雷門で東八拳の試合、21日火はニコリでゲームを教え、22日水は大井町のマーブルでトランプ夜会、23日木は高次脳機能障碍者自助グループ調布ドリームでゲームの指導、24日金はボードゲーム読書会25日土はドミノ大会を主催、26日日は選挙に行ったあと雷門で東八拳、中目黒で新ボードゲーム党に参加、それから四谷のカフェオハナゲーム会へ。28日火はツイッターでゲームデザイン討論会、29日水は北ゲーム会と、西新井のなべやゲーム会に参加。30日木は取手のゲーム合宿に出かけます。5月は5日火にゲームマーケット、23日土に遊戯史学会が予定されています。」というのが、本人の筆になる活動記録・紹介となります。

【活動報告】Analog Game Studies第17回~20回読書会報告&新体制のお知らせ、各種活動報告

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【活動報告】Analog Game Studies第17回~20回読書会報告&新体制のお知らせ、各種活動報告

 岡和田晃
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 2014年のAnalog Game Studiesの活動報告をさせていただきます。
 まず、2014年1月の第17回、2014年3月の第18回、2014年5月の第19回の3回で、ケイティ・サレン&エリック・ジマーマンの『ルールズ・オブ・プレイ』(下巻、ソフトバンククリエイティブ)を通読いたしました。これらの会合では、狭義のゲームの話題のほか、例えば戦略論、サッカー、本格ミステリにおける「後期クイーン的問題」など、多様な議論が行なわれました。

 2014年7月の第20回では、明神下ゲーム研究会との合同で、増川宏一『盤上遊戯の世界史』(平凡社)の読書会を行ないました。明神下ゲーム研究会のメンバーにはこれまで、Analog Game Studiesでデザイン中のゲーム作品のテストプレイ協力等もいただいております。

 20回の読書会を達成したことを一つの区切りとしまして、2014年10月からは、AGSメンバーの環境変化もふまえて若干活動スタイルを変更し、新体制で、学術および文芸ジャーナリズムとの連携をいっそう強化していくことになりました。
 まず、AGSメンバー有志が「ボードゲーム読書会@高田馬場」と合同することで、より学術的な側面のアウトプットを目指していきます。これまで、Avedon and Sutton-Smith “The Study Of Games”、Cornell and Allen “War and Games”といった英語文献を読み進めるとともに、伝統ゲームの研究発表なども共有して参りました。
 この「ボードゲーム読書会」は遊戯史学会の分科会として承認され、3月には【ゲームデザイン討論会―公開ディスカッション2015.03.14】を開催する予定です。

 加えて2014年10月からは、AGSメンバー有志に、随時ゲスト参加者を交えつつ、ゲームと文芸の交点を模索するためスチームパンクRPG『キャッスル・ファルケンシュタイン』のキャンペーン・プレイと内村博信『ベンヤミン 危機の思考』(未來社)の読書会を交互に行なうという試験的な試みを開始して参りました。こちらは「TH(トーキングヘッズ叢書)」(アトリエサード/書苑新社)No.61「レトロ未来派」(スチームパンク特集)への執筆参加ということで、一つの成果を生むことができました(後述)。

 今後ともAnalog Game Studiesは、より良いアウトプットを行なうために、研鑽を続けて参ります。

 このおよそ1年の間に、Analog Game Studiesのメンバーが行なった活動の一部をご紹介していきます(AGS内記事執筆・査読等を除く)。

 顧問の草場純氏は、AGSのこちらのエントリでも紹介されているような各種ゲーム会を主催するとともに、船橋の「買い将棋」のルールを取材したり、ゲームマーケット大賞の審査委員長をつとめるなどし、その存在感を発揮しました。盤双六の新資料を発見し、その研究も行なっております。さらに、Twitter上で行なわれているゲームデザイン討論会は遊戲史学会の試みとなり、現在まで8回を数えています。
 出版関係では、赤桐裕二『トランプゲーム大全』(スモール出版、2014年11月発刊)や、2015年10月発刊予定の、『クク』についての書籍などに協力しています。

 代表の岡和田晃は、「Role&Roll」に連載されている『エクリプス・フェイズ』関係の記事、および「SF Prologue Wave」の『エクリプス・フェイズ』企画に毎号協力しています。「Role&Roll」では「戦鎚傭兵団の中世“非”幻想事典」の執筆も引き続き行っています。
 共著『向井豊昭傑作集 飛ぶくしゃみ』(未來社、2014年1月)は日本図書館協会の選定図書となり、『北の想像力 〈北海道文学〉と〈北海道SF〉をめぐる思索の旅』(寿郎社、2014年5月)は第35回日本SF大賞の最終候補作となりました(選考会は2月中旬頃に行われます)。また単著『向井豊昭の闘争 異種混交性(ハイブリディティ)の世界文学』(未來社、2014年7月)のほか、共訳書・共著を合計3冊刊行いたしました。
 AGSをご覧の皆さまへ特にお読みいただきたいのは、川上亮『人狼ゲーム BEAST SIDE』(竹書房文庫、2014年4月)、仁木稔『ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち』(早川書房、2014年4月)、浦賀和宏『頭蓋骨の中の楽園』(講談社文庫、2014年9月)に寄せた解説文です。『人狼ゲーム BEAST SIDE』では「人狼」の起源と現在を考え、『ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち』では、ゲーミフィケーションを論じ、また『頭蓋骨の中の楽園』ではゲームAIを批評的に考えてみました。

 また、『狂気山脈の彼方へ』(創土社、2014年12月)に収められたHUGO HALL氏のゲームブック「レーリッヒ断章の考察」のお手伝いをしており、こちらもチェックをいただけましたら幸いです。

 講演やゲーム関係のイベントも活発に開催し、『エクリプス・フェイズ』体験会のほか、ジュンク堂書店や東京堂書店で講演やトークイベントを行ない、また2014年10月の日本近代文学会秋季大会でのパネル発表「世界内戦と現代文学――批評と創作の交錯」に出演、文学についての学会発表で領域横断的にゲームについての言及も行ないました。

 蔵原大は遊戯史学会の理事に就任し、各種活動を精力的に行なっております。また、「SF Prologue Wave」にオリジナル小説「『真夏の夜の夢』作戦」を発表。齋藤路恵との共著で『エクリプス・フェイズ』小説「マーズ・サイクラーの情報屋」も発表し、評判を集めました。

 田島淳は、昨年に引き続いてジャパンゲームコンベンション(JGC)2014の『ハーンマスター』体験会でゲームマスターをつとめ、また2014年10月にはイイトコサガシのファシリテーター研修の講師として、先鋭的なルールシステムの未訳RPG『Becoming』をプレイし、好評を得ました。
 加えて、田島は「TH(トーキング・ヘッズ叢書)」でライターとして文芸とRPGをつなぐレビュー活動を開始し、No.59では『北の想像力』、No.60では岡田剛『十三番目の王子』、No.61では門倉直人『失われた体』のレビューをそれぞれ寄稿しています。

 仲知喜は「TH」No.61の「エッジの利いたスチームパンク・ガイド」に参加し、RPG『ヴィクトリアンエイジ・ヴァンパイア』、アラン・ムーアほか『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』、チャイナ・ミエヴィル『ペルディード・ストリート・ステーション』のレビューを寄稿しています。『ペルディード・ストリート・ステーション』のレビューはAnalog Game Studiesの「【レビュー】RPGゲーマーのための『ペルディート・ストリート・ステーション』ガイド」とセットでお読みください。

 「TH」No.61の「エッジの利いたスチームパンク・ガイド」は岡和田の編になるもので、岡和田は「世界劇場と吸血鬼ジュヌヴィエーヴ」(「TH」No.58、AGS記事の改稿)、「サイバーパンクとクトゥルフパンク」(「TH」No.59)、「サイバーパンクとゴシックパンク」(「TH」No.60)の文脈をふまえた批評文「スチームパンクと崩壊感覚、歴史への批評意識としての「パンク」」を寄稿。また、キース・ロバーツ『パヴァーヌ』、ギブスン&スターリング『ディファレンス・エンジン』、マイケル・ムアコック『グローリアーナ』、佐藤亜紀『1809』、フォルカー・デース『ジュール・ヴェルヌ伝』のレビューを執筆しました。

 なお、田島淳は「エッジの利いたスチームパンク・ガイド」のうち、『キャッスル・ファルケンシュタイン』、RPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ エベロン』、それに沙村広明「エメラルド」のレビューを「エッジの利いたスチームパンク・ガイド」にも寄稿しています。「スチームパンク」を軸に、AGSがこだわってきたゲームと文芸の交点を探る試みで、成果を残すことができました。

冒険に満ちた散歩

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冒険に満ちた散歩

齋藤 路恵 (協力:岡和田晃)

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わたしたちはしばしば「もし~だったら」と考える。もし地球の温度が一度上がったら、もしドラえもんの道具が手に入ったら、もし今この人生が夢だったら。
わたしたちはあり得たはずの別の可能性と隣り合う。つまり、想像を通じて異界と隣り合っている。
異界と写真について考えてみる。
写真はかつて異界の扉ではなかったか。カメラは異界への瞬間移動装置だったのでは? いや、きっとカメラは今日においても移動装置なのだ。わたしたちは写真に慣れ、長い間に、あるいは驚くほどの短い間に、そのことを忘れてしまったのだろう。
ここにフォトゲームブックがある。これを通して、わたしたちはかつて異界の創造者であり、今日において、なお異界の創造者であることを思い出してみよう。

こちらはあまのしんたろう氏のフォトゲームブックのサイトだ。

(あまの氏のフォトゲームブック「ウィンベー・バカンス」3頁の写真)

フォトゲームブックのしくみはそれほどむずかしいものではない。選択肢があり、それをたどると、ある写真、ある物語に行きつく。
おそらく少し勉強すれば同じような形式のものを作れるはずだ。

これらのゲームブックに使われている写真は現実に存在する場所だ。だが、写真とともに進行する物語は必ずしも日常生活の延長とは言えない。
日常のようで日常でない物語、読み手はその中を回遊することとなる。

カメラについて少し考えてみよう。最初期のカメラはまさしく魔法だった。複雑で危険な薬品を使いこなす。そして、自らを陰画紙に定着させる。それは絵画と似たものだったが、絵画とはまったく違うやり方で自らの客観視を可能にするものだった。
やがて技術革新が進み、写真は誰にでも撮影可能になった。進歩したカメラはわたしたちに手軽なフレーミング技術を与えてくれた。フレーミングとはここでは、世界を四角く切り取ることを指す。

もともと人間の視覚に境界線はない。上下左右への自由な移動。好きな場所にピントを合わせ、それをまた一瞬で変える。人間が視界をフレーミングするようになるのは、紙やキャンバスといった限りのあるものに、世界を写しかえようとしてからだ。
カメラは無限定な世界を四角く切り取って見せる。世界を四角く切りとること、それ自体は絵画もよくやっていた。だが、絵画の構図は手作業である。作者は時間をかけて絵の構図を完成させる。カメラはボタンを押した瞬間に世界が切り取られる。
カメラのフレーミングはしばしば意図せざる世界を出現させる。その偶発的な世界は、わたしたちの日常でありながら、わたしの意図によらない。それは異界なのだ。それも、限定され、完成した異界。切り取られた世界は完結した一つの世界だ。
写真は無限にズームアップできる世界でもある。ズームの限界がきたら、複写をやり直し、またズームすればいい。むろん、ズームアップすれば精度は下がる。すぐに何が何だかわからなくなる。でも、ズームアップできなくなるわけではない。理論上は永遠にズームアップを繰り返せる。
一方でズームダウンには限りがある。ズームダウンを繰り返すとやがて対象の外側が入ってくる。外側の侵入を防ぐことはできない。ズームダウンの限界は切り取られた世界の区切りであり、完結である。
わたしたちは無限の深さを持つ写真の内部において、また、無限の広がりを感じることができる。写真の中にあるもの、写真に写り込んでいないものの外部を想像する。外部の広大さはフレームによってこそ拡張される。
目で風景を見る場合、それは無限定の世界だ。見えない部分、世界の外側は遠くにある。
フレームの中の空間は制限されていて、世界の外側はすぐ近くにある。ビルの物陰の狂人を恐れるように、わたしは写真の奥の世界を恐れる。フレームの外側、あの闇の内に潜むものはなんだろうと警戒する。
見知った世界とよく似た異界の光景。ぼんやりとした不安の影。テキストはその闇の風景に輪郭を与える。曖昧で見えなかったもの、ぼやけていた輪郭が浮き上がり、世界が屹立する。わたしはその微かな瞬間に立ち会う。
でも、闇から現れでるものは恐怖の怪物とは限らない。暖かい日差しと穏やかな海、地に足をつけて暮らす人のやさしい言葉かもしれない。見えてはいたが、気づいていなかったものが瞬間に立ち上がる。
一方で、テキストはすべてを見えるようにするわけではない。テキストはさらに光の当たらない場所、より濃い闇を生み出す。テキストが行うのは世界の対照(コントラスト)をはっきりさせることだ。
人はテキストで書かれたものに注目する。テキストで書かれなかったものは目に入らなくなる。それまでぼんやりと見えていたものが闇に溶け込む。テキストによってそれは不可視になる。茫漠とした地になり、足元に暗闇を与える。

テキストを読む。予想と違う位置に輪郭線が引かれる。少し驚く。でも、理解できる。過去にそれを知っていたわけでもない。知っていたわけではないのに理解している。
変わった風景ではない写真。どこかにありそうだが、どこをとったのかわからない写真。

もう異界に入る準備はできている。テキストが立ち上がる。ああ、やっぱりここはいつもと違う場所だった。

これはわたしが作っても同じことだ。写真を撮る。影ができる。別の世界が始まる。テキストをつける。世界の闇が濃くなる。闇から声が聞こえてくる。わたしはこの闇からの声を知っている。闇から声がすると知っていた。懐かしい。
さあ、わくわくしよう。強い光と濃い影の中、わたしの冒険に満ちた散歩が始まる。

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しゃしんか あまのしんたろう こうしきさいと ヤミーアートミュージアム

http://shintaro-amano.com/

Traditionelle japanische Spiele für Herr Reiner Kunizia

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Traditionelle japanische Spiele für Herr Reiner Kunizia

 草場純 (協力:クリスチャン・バウムバッハ、岡和田晃)

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 2013年3月23日、メビウスゲームズ20周年記念パーティーが催されました。そこでは世界的なゲームデザイナーであるライナー・クニツィアが招待され、東京の文京シビックセンターで講演を行ないました。その話もよかったのですが、翌日、折角日本に来たのだからと、私の提案で日本の伝統ゲームをクニツィア先生にレクチャーしようという運びになりました。
 以下はその時に用いた、クニツィア先生用の資料です。友人のクリスチャン・バウムバッハ氏にドイツ語訳してもらったのを渡しました。そちらも合わせて掲載いたします。

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■日本の伝統ゲーム

 こんにちは、ようこそおいでくださいました。心より歓迎いたします。
 せっかく遠路はるばるお越しくださったので、よくあるゲームではなく、昔から伝わる日本独特の伝統ゲームをいくつかご紹介いたします。ただし、これらは現代日本では決して一般的ではなく、むしろ知らない日本人の方が多いと思います。また時間がありませんので、実際にやっていただくのは「ごいた」程度で、あとはお見せするだけになると思います。
 お楽しみいただければ幸いです。

1:ごいた…石川県北部の宇出津(うしつ)地方の漁民に、19世紀中ごろから伝わる遊びです。日本のゲームには珍しいペア戦で、早く手札をなくした方が勝ちです。本来、独特の道具を使って遊びますが、それを私がカード化してみました。

2:投扇興(とうせんきょう)…日本のダーツですが、ダーツとはかなり趣が違います。18世紀後半に京都で考案された遊びで、扇を投げて的に当て、落ちた形で点をつけます。道具が日本的な美しさを持っています。

3:旗源平(はたげんぺい)…19世紀前半に石川県南部の金沢(かなざわ)で考案されたダイスゲームです。単純な遊びですが、道具立てはきれいです。

4:東八拳(とうはちけん)…19世紀中ごろに江戸(昔の東京)で考案された、アクションゲームです。きつね(だんなに勝つ)の動作か、だんな(鉄砲に勝つ)の動作か、鉄砲(きねに勝つ)の動作を、二人同時にします。これをリズミカルに繰り返し、三回連続して勝てば最終的な勝ちです。

5:手本引き(てほんびき)…一人の親(ディーラー)と何人かの子(プレーヤー)が対戦するギャンブルゲームです。親が1~6の数字カードを1枚伏せて出し、それを子が当てるというだけのゲームですが、独特の心理戦になります。

6:盤双六(ばんすごろく)…日本のバックギャモンです。日本には7世紀に伝わり、独特の発達をしました。現在ではバックギャモンにとってかわられた、滅びたゲームです。

7:うんすんかるた…九州の人吉(ひとよし)地方に伝わるカードゲームです。16世紀末にポルトガルから伝わったものが独特の発達をとげたトリックテーキングゲームです。

8:花札…これも7と同じくポルトガルから伝わったカードゲームが、別の発達をとげたもので、日本からさらに韓国、ハワイ、パラオなどに伝わりました。これは現在でも多くのプレーヤーがいます。カシノやスコポーネに似ています。

9:絵取り…18世紀にオランダから伝わったペア戦のトリックテーキングゲームで、現在は島根県の掛合(かけや)だけに伝わります。

10:ゴニンカン…9が、さらに変形したもので、20世紀初めから青森県で盛んにおこなわれています。

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Traditionelle japanische Spiele

Hallo und willkommen in Japan! Wir freuen uns alle wirklich sehr über
Ihren Besuch.

Als Dank dafür, dass Sie den weiten Weg auf sich genommen haben,
möchte ich Ihnen heute ein paar besondere, weniger bekannte Spiele
vorstellen, die traditionell in Japan gespielt wurden. Heutzutage sind
die Spiele leider etwas in Vergessenheit geraten, sodass selbst die
meisten Japaner sie nicht mehr kennen. Da wir heute nicht viel Zeit
haben, beschränken wir unser Testspiel auf das Spiel „Goita“. Die
anderen Spiele stelle ich Ihnen nur kurz vor.

1. Goita: Bei diesem Spiel aus der Mitte des 19. Jhd., dass von
Fischern aus dem Gebiet Ushitsu im Norden der Provinz Ishikawa stammt,
werden Teampaare gebildet, was für japanische Spiele ungewöhnlich ist.
Es geht darum, seine Hand möglichst schnell auszuspielen. Ursprünglich
wurde es mit speziellen Spielsteinen aus Bambus gespielt, doch ich
habe daraus ein Kartenspiel gemacht.

2. Tōsenkyō (Fächerwurf): Lässt sich ein wenig mit Darts vergleichen,
auch wenn es sich grundsätzlich anders spielt. Dieses Spiel wurde in
der zweiten Hälfte des 18. Jhd. in Kyoto erdacht. Dabei wird ein
Fächer auf ein Ziel geworfen und je nachdem, wie er zu liegen kommt,
werden unterschiedlich viele Punkte vergeben. Die Spielgegenstände
bringen die japanische Ästhetik zur Geltung.

3. Hatagenpei: Ein Würfelspiel, dass in der ersten Hälfte des 19. Jhd
in Kanazawa im Süden der Provinz Ishikawa erfunden wurde. Es ist ein
simples Spiel mit hübschen Utensilien.

4. T ō hachiken: Ein aktionsreiches Spiel, das Mitte des 19. Jhd. in
Edo (Alter Name von Tokio) erfunden wurde. Ähnlich wie bei
Stein-Schere-Papier zeigen zwei Personen gleichzeitig eins von drei
Handzeichen: Fuchs (gewinnt gegen Edelmann), Edelmann (gewinnt gegen
Gewehr) oder Gewehr (gewinnt gegen Fuchs). Rhytmisch (zur
musikalischen Begleitung) werden so lange Zeichen gezeigt, bis einer
der Spieler drei Mal hintereinander gewinnt und somit das Spiel für
sich entscheidet.

5. Tehonbiki: Ein Glücksspiel, bei dem ein „Elternteil“ (Dealer) gegen
mehrere „Kinder“ (Spieler) spielt. Der Dealer legt verdeckt eine Karte
von 1 bis 6 aus, die daraufhin von den Spielern erraten werden muss –
sehr einfach, aber mit einer interessanten psychologischen Komponente.

6. Bansugoroku: Japanisches Backgammon, das im 7. Jhd nach Japan
überliefert wurde und sich danach auf besondere Weise entwickelte.
Leider wurde es mittlerweile von Backgammon vollständig verdrängt.

7. Unsunkaruta: Ein Kartenspiel aus der Gegend Hitoyoshi auf der Insel
Kyushu, das sich aus ursprünglich aus Portugal überlieferten Spielen
entwickelt hat. Dabei müssen Stiche gewonnen werden.

8. Hanafuda: Wie Nr. 7 beruht auch dieses Kartenspiel auf einem
portugiesischem Ursprung. Die in Japan entwickelte Variante breitete
sich wiederum nach Korea, Hawai, Palau und in andere Länder aus.
Hanafuda wird heutzutage sehr beliebt. Es ähnelt Casino und Scopone.

9. Edori: Dieses Kartenspiel wurde im 18. Jhd. aus den Niederlanden
überliefert. Dabei müssen Spielerpaare Stiche erziehlen. Heutzutage
ist es nur noch in Kakeya in der Provinz Shimane lebendig.

10. Goninkan: Hat sich wiederum aus Nr. 9 entwickelt und wird seit
Beginn des 20. Jhd. in der Provinz Aomori gerne gespielt.

(Übersetzung:Christian Baumbach)

「視覚不要! RPG ~この町を救え~」レポート

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「視覚不要! RPG ~この町を救え~」レポート

 草場純 (協力:岡和田晃、齋藤路恵、田島淳)

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 2013年の10月5日土曜日13時~16時、高田馬場の日本点字図書館3階会議室にて、おそらく日本初、世界でもあまり例のないと思われる、視覚障碍者対象の会話型RPG(テーブルトークロールプレイングゲーム、TRPG)が行われました。参加予定の視覚障碍者は、Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんの5人でしたが、AさんとCさんが仕事の都合で、Eさんが体調不良で不参加になったのが少々残念でした。特にAさんとCさんは、事前のテストプレーに参加してくださり(そういう意味では今回は「日本で2回目」だったとも言えますが)、本日の本番を楽しみにされていただけに残念でした。
 晴眼者(支援者)の参加者は6人、ゲームマスターを務めてくださった齋藤路恵さん、視覚障碍者用のゲームをいろいろ開発されているGさん、奥様が視覚障碍で私とはゲームを通じた30年来の付き合いのある私の二番弟子(笑)のHさん、それから点字図書館の職員の奥様と娘さんの、Iさんと、Jちゃん(9歳)、そして私こと、ここで30年間ゲーム会のお世話をしています、草場です。

 初めにごく簡単に自己紹介をし、それから齋藤さんから、RPGとは何ぞやという説明が、要領よくありました。ここで繰り返すこともないと思いますが、要するに「みんなでお話を創っていくゲーム」ということでした。言い換えれば「即興演劇遊び」で、「みんなはそれぞれ役割を考え、自分でその役割を演じていく」ということでした。
 ここで、Bさんから意見があり、「説明だけではイメージがつかみにくいので、やっているところを録音した資料があるといい」ということでた。なるほど。今後視覚障碍者向けRPGの普及を考えるならば、これは課題ですね。残念ながらこのセッション自体の録音も、手が回りませんでした。

 次に齋藤さんから舞台の提示がありました。
「ここは、1990年代の日本です。」
 しかし、予想外だったのですが、たまたま9歳の女の子がいたので、これはあまりよくなかったかもしれませんね。何せ生まれる15年も前のことは、私もなかなかイメージがつかめません。
 ともあれそうした背景を元に、各自自分の役割づくりをしました。普通はシートなどを使い、イラストを入れたりして仕上げるのですが、ここは全て言葉だけです。
 齋藤さんは、
「例えば、『私は料理の得意な売れない作家の伊藤です。』というように、役割(職業)を明確にして、名前はだれだか分からなくならないように本名をちょっとひねるとわかりやすいです。」
 という意味のことを言いました。これは今回特有の工夫だと思います。本来のRPGだと、思い切り本人から離れた方が良いのでしょうが、今回は耳だけで状況を捉えなければなりません。つかず離れずが大事なのだなあと思いました。
 さて、その結果は以下の様になりました。座り順です。

草場→自称発明家の関場
Bさん→政治評論家の坂東
Hさん→はやらない医者の林
Gさん→数学者の群馬
Iさん→看護師の相澤(途中参加)
Jちゃん→女子高生のじゅん(途中参加)
Dさん→町の小母さん堂本

 そこで齋藤さんから課題が出ます。
「今はみんなバラバラなところに居ますが、一人4発言、つまり4周発言が回って、合計20発言で全員どこかへ集まりましょう。」
(開始時点でIさんとJちゃん親子は居なかったので、5人プレー。)
 すったもんだの末 (妙な噂で株価が上がったり、はやらない林医院に突然患者が溢れたり)に、数学者一人を除いて何とか放送局に集まりました。
 たったこれだけのことですが、進め方や話し方がなんとか了解できました。易しいような難しいような…手でもこんな風に、何の条件もなく、チームがそれとなく作れるというのは面白いですね。
 偶然ですが、9歳の子も最初から参加より、先に見てからの参加はむしろ良かったかも。

 そこで、いよいよ本番の課題です。これは今の物語の後をうまく受けたものです。
 次に齋藤さんから3つの課題が出されます。基本は21発言(3周)でどこかに集まります。
 ミッションは、
1.謎の病気の原因を探る
2.病人を助ける
3.町の悪評を消す
 です。なかなかの難題ですね。
 何せ前の話の最後で、町は謎の病気の蔓延で封鎖されそうという大事になっています。

 初めは、右往左往ですが、やがて看護師と医者の活躍で患者の血(清?)中に微生物のようなものが発見され、女子高生の修学旅行で行ったタイ旅行に原因がありそうという話になり、数学者が祖父から貰ったお茶が病気に効きそうだと話になり、政治評論家の伝手でみんなでタイまで探査旅行に出かけることになったのでした。
 タイでもなかなか手がかりが見つからないのですが、やがてパパイヤマンゴーを食べて起こる風土病らしいということになり、またそれに効くお茶も同地でみつかり、日本に帰ることになりました。このお茶の成分の薬効で、謎の病気は一掃され、却ってそのことでこの町は国中の評判になったのでした。めでたしめでたし。

 こうして無事、町は救われました。要所、要所でダイスを振っての判定も適確で、でたらめのようででたらめでなく、予定調和のようで予定調和でないスリリングな展開になりました。小さい子も混じっての難しいセッションだったと思うのですが、みなんでゆっくり9歳の子の発言を待ちました。また、隣のお母さんの支えもあって、いろいろな活躍ができました。Jちゃんにとっては得難い体験になったことでしょう。看護師だけでなく、噂を集める町の小母さんも、病原菌を見つける一助となる発明家も、結果としてみんな所を得た活躍ができ、無事町に平和が戻ってよかったと思います。

 話し言葉以外に、ほとんど何も使えないような条件でゲームマスターを務めてくださった齋藤さん、ありがとうございました。この日はほぼ全員が初めての体験であったのに加えて、年齢層もまちまちであり、IさんJちゃん親子は少しあとから入られましたし、Hさんは所用で途中で帰られなくてはならなかったりと、いろいろ悪条件であったにもかかわらず、私を含めて全員が楽しい体験をすることができました。この方面の発展の、可能性を感じた3時間でした。
 参加された皆さんにも、厚く感謝をしたいと思います。

(※)個人情報保護の観点から、個人名をそれぞれ仮名処理させていただいております。ご理解いただけましたら幸いです。

市立小樽文学館企画展「テレビゲームと文学展」レポート

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市立小樽文学館企画展「テレビゲームと文学展」レポート

  岡和田晃 (協力:玉川薫(市立小樽文学館)、八重樫尚史、高橋志行)

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 2012年8月11日から9月23日まで、北海道の小樽市にある市立小樽文学館において、「テレビゲームと文学展」という企画展が開催されました。
 日本各地には様々な文学館が存在していますが、なかでも「テレビゲーム」と「文学」の関わりをテーマとして大々的に打ち出すというのは、きわめて珍しい試みです。

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【「テレビゲームと文学展」フライヤー】

 文学館というと古臭くて堅苦しいというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。けれども、そうしたイメージを払拭すべく、文学館の側も革新的な試みを打ち出すようになってきています。
 同じく北海道にある札幌の北海道立文学館では2014年2月8日か~3月23日まで、日本におけるスペキュレイティヴ・フィクション(思弁小説としてのSF)の第一人者であり、北海道におけるSFファンダムの始祖的な存在である作家・荒巻義雄をテーマに据えた「「荒巻義雄の世界」展」が開催されました。同展では、スペースオペラや伝奇ロマン、あるいは脳科学や精神医学、コンピュータ・サイエンスへの関心を全面に押し出され、著名なSF作家やSF評論家を交えたシンポジウムなども執り行われました。

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【「「荒巻義雄の世界」展」フライヤー】

 小樽市は小林多喜二や伊藤整を輩出した古き良き文学の街でもありますが、加えて、荒巻義雄や川又千秋といった、スペキュレイティヴ・フィクションの代表的な作家と縁が深い街でもあります。
 その市立小樽文学館での「テレビゲームと文学展」は、会期中に1335人の来場者を集め、盛況だった模様です。2014年4月4日~6月8日の期間には、「ゲームと文学」シリーズ第二弾としまして、「ボードゲームと文学展」も開催される予定となっています。そこで第一弾にあたる「テレビゲームと文学展」の模様を、簡単にご紹介してみたいと思います。

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【会場写真】

 展示は、大きく第一部「テレビゲーム史」、第二部「ゲームを生んだ文学、文学を生んだゲーム」、第三部「テレビゲームと文学の身体性・双方向性」に分けられます。
 第一部の冒頭に掲げられたコンセプトは、下記のようなものです。このコンセプトに加えて、黎明期から家庭のエンターテインメントとして定着するまでの「テレビゲーム史」が、1952年のコンピュータと対戦する三目並べ『OXO』の登場にまで遡る形で解説されます。

 テレビゲームは、1950年代に生まれ、80年代の家庭用ゲーム機の爆発的普及で、日本、さらに国際的にも世代を超えた遊びになりました。
 テレビゲームは、それよりはるかに長い歴史をもつ「書物による文学」と密接な関係があります。
 またテレビゲームの双方向性(遊び手によって物語自体が変化していく)と体感性は、従来の読書における作者と読者の関係にも変化をもたらしています。
 そしてテレビゲームで定着した複数の遊び手の同時参加により物語が変化するおもしろさは、ネット小説を生み出す原動力になり、文学の未来をも予感させます。
 この企画展は、テレビゲームと、その下地となったパーソナルコンピュータ技術、そして伝統的な文学の歴史を紹介し、相互の影響を考察しながら、テレビゲームを「文学的視点」で見直すものです。
 本展にあたり、多大なご協力をいただいた方々に、心より御礼申し上げます。

 第二部では、まず「世界の神話・民話・伝承・古典」と題して、『ギルガメッシュ叙事詩』、『ラーマーヤナ』、『聖書』、『古事記』、『イーリアス』、『アーサー王伝説』、北欧神話や御伽草紙が、「そのほとんどが作者不明で口承(こうしょう)で伝えられました。あらゆる物語の母胎(ぼたい)であり、ファンタジー文学の原郷(げんきょう)であり、おおくのテレビゲームの主人公が活躍(かつやく)する世界でもあります。」と紹介されました(年若い参加者でも理解できるように、適宜ルビがふられています)。
 続いて、「文学とテレビゲームをつなぐカギ、それが「テーブルトークRPG」」と題して、アナログゲームそれも会話型RPG(テーブルトークRPG、TRPG)の役割が、次のように強調されました。

 「テレビゲームと文学展」で、もっともたいせつなカギになるこの「TRPG(テーブルトークアールピージー)」について、うんとかんたんに説明しましょう。
 テレビゲームがすきな人はもちろん、やったことのない人、きょうみのない人でも「ドラクエ」は知っているでしょう。
 そのゲームは「勇者(ゆうしゃ)」が主人公であり、それはゲームをするあなたです。「勇者」はひと
りで旅をはじめますが、とちゅうで出あった戦士(せんし) 、魔法(まほう)つかい、商人(しょうにん)、あそび人(にん)が仲間になります。たたかった敵がともだちになり仲間(なかま)にくわわることさえあります。
 旅にはいろいろな困難(こんなん)がまちうけています。大嵐(おおあらし)や火山(かざん)、まよいこんだら出るのがむずかしい洞窟(どうくつ)。そしておそいかかってくる敵。
 とくいな力、欠点もある仲間とたすけあいながら困難をのりこえ、そのたびに「勇者」も仲間たちも成長していき、智恵(ちえ)も力もおおきくなっていきます。
 またその力にふさわしい「聖(せい)なる剣(けん)」なども手にすることができるようになります。
 そして最後にまちかまえている最大最強(さいきょう)のとりでと敵。それをのりこえ、たおさなけれ
ば「勇者」は「ほんとうの勇者」になることはできません。
 このようなゲームは、何かににていると思いませんか? 映画「ロード・オブ・ザ・リング」、その原作「指輪物語(ゆびわものがたり)」。そして「ナルニア国ものがたり」「ゲド戦記(せんき)」。「ネバー・エンディング・ストーリー(はてしない物語)」「モモ」。映画の「スターウォーズ」さえ、そのながい物語はまるで「ドラクエ」のようです。
 これらの物語は、世界じゅうに古(ふる)くからつたわる神話や伝説におおくのヒントをえています。だから国や年にかんけいなく、たくさんの人たちの心をとらえ、感動させます。
 これらの物語をどだいにして、それをみんなであそぶゲームにしたのが「テーブルトークRPG」です。ゲームに参加する人たちが、それぞれ「戦士」になり、「魔法つかい」や「妖精」になり「商人」や「あそび人」になったりする。みんなはこの国におおきな災難があることをしって、それを解決するために、つれだって旅にでます。そしていろいろな困難にであい、そのつど力をあわせてのりこえていきます。
 この「テーブルトークRPG」こそ、「ドラクエ」「ゼルダ」「ファイナルファンタジー」など、みんながだいすきなテレビゲームのもとになった遊びであり、「文学とテレビゲーム」をつなぐもっともたいせつなカギなのです。

 それにあわせて、何も知らない人でも理解できるように「TRPGとは?」といった解説、「ミニチュアを使用した戦争(ウォー)ゲーム」の古典であるH・G・ウェルズがデザインした“Little Wars”に、同作をルーツに持つ(『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の前身)でもある戦争ゲーム“Chainmail”の解説を含んだ「TRPGの誕生と発展」、さらにはゲームブックやリプレイの説明なども盛り込んだ「日本のTRPG」といった解説パネルが掲示され、実際に『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版の「赤箱」、『ルーンクエスト』といったRPGのボックスが展示されました。
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【RPGのボックス展示(写真は「日本一周ぶらり旅」さまより引用)】

 とりわけ面白いのはプレイバイメール(郵便を使って遊ぶRPG)風の企画「ヲタブンQuest 往きて還りし物語」が実際にプレイされたことでしょう。「往きて還りし物語」とは物語の基本的な構造で、現在映画化されて大変な好評を博しているJ・R・R・トールキンの『ホビットの冒険』でも採用されています。この企画は北海道大学RPG研究会が協力し、20人もの参加者を集め、好評を博したということです(北海道大学RPG研究会のほかにも、今回の「テレビゲームと文学展」には、藤井昌樹さま・宮崎佳奈さまが、パネルの文章執筆やゲームデザイン等、さまざまな協力を行っておられます)。
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【「ヲタブンQuest」で使用された各種シート】

 第三部では、「身体性」および「双方向性」という、ゲームを考えるにおいて欠かせない視点から、アクションゲーム、格闘ゲーム、体感推理ゲーム、ノベルゲーム、といった試みと「文学」の関係が模索されました。
 「身体性」が主軸となるアクションゲームを分析するにあたっては、「距離」や「間合い」といった視点が不可欠だとの指摘がなされ、ハードウェアやインターフェースの性能向上とともに、3D-CGのような三次元の感覚、あるいは体感型コントローラーの導入などが行なわれてきたと説明されます。面白いのは、直木三十五の剣豪小説『討入』と対比することで、そこにも「文学」とリンクする可能性が存在していることが、きちんと明示されていることでしょう。

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【「テミヤ線ファイター」(小樽文学館の側にある廃線・旧手宮線での格闘ゲーム)】

 それは、「体感型推理ゲーム」の紹介にあたっても同様で、証拠品が袋にとじこんであり、ゲームブックの嚆矢として語られることもある『マイアミ沖殺人事件』(デニス・ホイートリー)との対比で、名詞と動詞の入力で行われる初期のアドベンチャーゲームから、コマンド選択式のアドベンチャーゲームなど、ゲームシステムの違いをわかりやすくヴィジュアルで紹介しています。
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【ゲームシステムの変化が一目瞭然】

 その他、太宰治の『走れメロス』を横スクロール型のアクションゲームにしたらどうなるのかがシミュレーションされたり(『ベストセラー本ゲーム化会議』を彷彿させます)、あるいは小樽文学館の「色内広場」を舞台のオンラインゲームが構想されたりと、既成の枠組みにとらわれず、遊び心いっぱいに文学館という「場」を活かしながら、改めて「文学」のあり方が再考されているのが興味深く感じました。

 むろんここで紹介したのは、「テレビゲームと文学展」の一部にすぎません。ほかにも、展示に合わせてさまざまな参加型の企画が行われました。
 地域の文化を守り育てるために文学館が果たしている役割は、予想外に大きなものです。
 文学館に所蔵された資料のなかには、そこでしかアクセスできない貴重なものがありますし、学芸員の方々による工夫をこらした展示によって、文学を「そこにある、生のもの」として感じ取ることが可能です。
 それは、一人で本を読む経験とは、また学校で習う国語学習とは異なる展望を、私たちにもたらしてくれると確信します。
 「身体性」と「双方向性」に着目した「テレビゲームと文学展」は、知識の修得と実際の参加をうまく両立させた、意欲的な試みであることは間違いないでしょう。
 展示にあたっては著作権侵害などの恐れが生じないように工夫を凝らしつつ、企画展開催中は、会場の撮影やインターネット上での公開を積極的に推奨することで、広く浸透をはかったのことですが、そのような”開かれた”アプローチも興味深いところです。
 今年4月から開催される「ボードゲームと文学」展が、ますます楽しみになりました。

 快く資料の提供と公開許可をいただきました、市立小樽文学館の玉川薫副館長に改めて御礼申し上げます。

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企画展「ボードゲームと文学」

企画展「テレビゲームと文学」に続く、「ゲームと文学」シリーズ第2弾。
世界各地で根強い人気があるボードゲーム。その内部に組み込まれた「物語」に着目し、文学との接点を探ります。また、ゲームの盤面デザインやパッケージイラストなどアート的側面も紹介します。親子で楽しめる展覧会です。

1.魔法ゲーム「魔法のラビリンス」他
2.冒険ゲーム「小さなドラゴンナイト」他
3.おばけゲーム「3匹のおばけ」他
4.推理ゲーム「アロザ殺人事件」他
5.海賊ゲーム「海賊ブラック」他
6.動物ゲーム「やぎのベッポ」他

その他にも楽しい企画が盛りだくさんです。

会期:2014年4月4日(金)~6月8日(日)
休館日:月曜日(5月5日を除く)、4月30日(水)、5月7日(水)~9日(金)、13日(火)
入館料:一般300円、高校生・市内高齢者150円、中学生以下無料

市立小樽文学館公式サイトより引用。